Alpha

### 概要 アルファは、投資成果が市場平均をどれだけ超えているかを示す指標で、特にアクティブ運用で評価されます。単に市場全体が好調だったかどうかではなく、運用者がどれだけ「付加価値」を出したかを表現します。リスク調整後のパフォーマンスの差を把握できるため、ファンドマネージャーの力量を評価する際によく使われます。 --- ### どのような指標か アルファとは、実際の投資リターンが、同じリスク水準のもとで市場全体から得られると予想されるリターンをどれだけ上回ったか、あるいは下回ったかを示す指標です。投資戦略やファンド運用の成果を測る際に使われます。 --- ### 計算方法と構成要素 以下の式で表されます。 > アルファ = 実際のリターン − ベンチマークに基づく期待リターン ここで、期待リターンは資本資産評価モデル（CAPM）に基づき、次のように算出されます。 > 期待リターン = 無リスク金利 + ベータ × （市場リターン − 無リスク金利） この期待リターンとの差が「市場を上回った分」すなわちアルファとなります。 --- ### 利用シーン・応用例 - アクティブファンドの運用者が市場平均よりどれだけ優れていたかを評価する際に用いられます - 資産運用の分析で、ポートフォリオ全体や個別銘柄の貢献を分析する際に使われます - 投資信託の選定時に、単なる成績だけでなく、リスク調整後の成果も評価するために活用されます --- ### 類似用語との違いと比較 | 指標名 | 概要 | アルファとの違い | |------------------|--------------------------------------------|------------------------------------------------| | ベータ（Beta） | 市場全体との連動性を示す | リスクの大きさそのものを示すが、成果とは無関係 | | シャープレシオ | リスク1単位あたりのリターン | 全体的な効率性を示すが、市場平均との比較ではない | | トレイナーレシオ | ベータを使ってリスクを調整したリターンを評価 | アルファよりもベータとの関連が強い | | インフォメーションレシオ | 超過リターンを追跡誤差（アクティブリスク）で割った指標 | アルファと近いが、リスクも加味して効率を測定 | --- ### 注意点 - 一時的にアルファが高く出ることもあるため、継続性や運用者の手法も確認する必要があります - アルファは「市場リターンとの差」であるため、市場自体が動いていない期間でも変動することがあります - 計算前提となるベータの値や使用するベンチマークの妥当性にも左右されます --- ### 語源と補足 "Alpha"はギリシャ文字の最初の文字で、「最初」「主要」を意味します。投資の世界では、運用者が市場よりも優れた成果を出す能力、つまり「真の実力」を示すとされるため、この名がついています。