基本概念

ビレット（Billet、鋼片）は、製鋼工程で生産される半製品で、主に長材製品（棒鋼、線材、形鋼）の圧延素材として使用されます。断面は正方形または長方形で、一般的なサイズは100-200mm角、長さ3-12mです。連続鋳造法により溶鋼から直接製造されるCC（Continuous Cast）ビレットが主流で、一部は分塊圧延により製造されます。化学成分により、普通鋼、特殊鋼、ステンレス鋼ビレットに分類されます。

製造プロセスと品質

ビレット製造は、製鋼から連続鋳造までの一貫プロセスです。電炉または転炉で精錬された溶鋼は、二次精錬で成分調整されます。連続鋳造機で凝固させ、所定長さに切断します。品質管理項目には、化学成分（C、Si、Mn、P、S）、表面品質（割れ、疵）、内部品質（偏析、介在物）、寸法精度があります。超音波探傷、磁粉探傷により内部欠陥を検査します。熱間圧延性を考慮した結晶粒度管理も重要です。

市場と貿易

ビレット市場は、国際商品として確立されています。中国、トルコ、ロシア、ウクライナが主要輸出国で、東南アジア、中東、北アフリカが主要輸入地域です。価格指標として、CIS輸出FOB黒海、トルコ輸入CFR、中国輸出FOBが使用されます。建設用鋼材の原料として、建設活動、インフラ投資と強い相関があります。為替、原料価格（スクラップ、鉄鉱石）、エネルギーコストが価格形成要因です。

用途と最終製品

ビレットは多様な最終製品に加工されます。棒鋼は、鉄筋として建設業で大量消費されます。線材は、釘、ワイヤー、金網、PC鋼線に加工されます。形鋼（H形鋼、I形鋼、山形鋼）は、建築構造材として使用されます。特殊鋼ビレットは、自動車部品、機械部品、工具鋼に加工されます。圧延工程での加熱、圧下、冷却条件により、最終製品の機械的性質が決定されます。

技術発展と環境対応

ビレット製造技術は継続的に進化しています。ニアネットシェイプ鋳造により、圧延工程を簡略化し、省エネルギー化が進んでいます。電磁攪拌、軽圧下技術により、内部品質が向上しています。直送圧延（HDR）により、再加熱エネルギーを削減しています。環境対応として、電炉での水素利用、CCUS技術の導入が研究されています。今後は、カーボンニュートラル製造プロセスの確立が最重要課題となっています。