Currency Hedge

### 概要 為替ヘッジ（Currency Hedge）とは、外国通貨建ての資産（例: 外国株式、外国債券）への投資や、輸出入取引、海外子会社の損益などにおいて、将来の為替レートの変動によって発生する可能性のある損失（為替リスク）を回避または軽減するために行う取引や戦略のことです。 ### ヘッジ対象となるリスク - **輸出企業:** 外貨建てで受け取る売上代金が、円高によって円換算額が目減りするリスク。 - **輸入企業:** 外貨建てで支払う仕入代金が、円安によって円換算額が増加するリスク。 - **外貨建て資産投資家:** 保有する外貨建て資産の価値が、円高によって円換算評価額が減少するリスク。 - **海外子会社を持つ企業:** 海外子会社の利益などを円換算する際の不利なレート変動リスク。 ### 主なヘッジ手段 - **為替予約 (Forward Exchange Contract):** 将来の特定日に、あらかじめ決めた為替レートで通貨を交換する契約を結び、将来の為替レートを固定します。最も一般的なヘッジ手段です。 - **通貨先物 (Currency Futures):** 取引所に上場されている通貨先物を売買し、為替変動リスクをヘッジします。 - **通貨オプション (Currency Options):** 通貨を特定のレートで買う権利（コール）または売る権利（プット）を売買します。不利な変動リスクのみをヘッジし、有利な変動益は確保する「ワンウェイヘッジ」が可能ですが、オプションプレミアム（コスト）がかかります。 - **通貨スワップ (Currency Swap / Cross Currency Swap):** 異なる通貨のキャッシュフロー（金利、元本）を交換することで、為替リスクと金利リスクを同時にヘッジします。主に長期のリスクヘッジに用いられます。 - **外貨預金:** 将来の支払い等に備えて、あらかじめ外貨を保有しておくこと（ヘッジとは少し異なりますが、リスク対応の一つ）。 - **ネッティング:** グループ企業内などで、外貨建ての債権と債務を相殺します。 ### ヘッジの要否と程度 為替ヘッジを行うかどうか、またどの程度行うか（フルヘッジかパーシャルヘッジか）は、対象となるエクスポージャーの大きさ、将来の為替相場の見通し、ヘッジコスト、企業や投資家のリスク許容度などを考慮して決定されます。為替ヘッジはリスクを低減する一方で、有利な為替変動による利益（為替差益）を得る機会も放棄することになります（為替予約などの場合）。