Doha Round

ドーハ・ラウンド

法制度・規制

世界貿易機関(WTO)の下で2001年にカタールのドーハで開始された多角的貿易交渉(ラウンド)のことです。農業、非農産品、サービスなどの分野での貿易自由化を目指しましたが、先進国と途上国の対立などから交渉は長期化し、包括的な合意には至りませんでした。

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### 概要 ドーハ・ラウンド(Doha Round)とは、世界貿易機関(World Trade Organization, WTO)の第4回閣僚会議(2001年、カタール・ドーハで開催)で開始が宣言された、多角的貿易自由化交渉(ラウンド)の通称です。正式名称は「ドーハ開発アジェンダ(Doha Development Agenda, DDA)」であり、特に開発途上国の開発支援に重点が置かれていました。 ### 交渉分野 農業(補助金削減、関税引き下げなど)、非農産品市場アクセス(NAMA、鉱工業品などの関税引き下げ)、サービス貿易(GATS)、ルール分野(アンチダンピング、補助金)、貿易円滑化、開発、知的財産権(TRIPS)など、広範な分野でのルール作りと貿易障壁の削減を目指しました。 ### 交渉の経緯と結果 開発途上国の利益を重視する「開発ラウンド」として開始されましたが、特に農業分野における先進国(米国、EUなど)と主要途上国(ブラジル、インド、中国など)との間の利害対立が大きく、交渉は難航しました。何度も閣僚会議が開催されましたが、各分野をまとめて一括受諾(シングル・アンダーテイキング)するという原則が、かえって交渉全体の停滞を招きました。 最終的に、2013年のバリ閣僚会議での「貿易円滑化協定」など一部合意はあったものの、ラウンド全体としての包括的な合意には至らず、2015年のナイロビ閣僚会議以降、ドーハ・ラウンドという枠組みでの交渉は事実上終了したと見なされています。 ### 影響 ドーハ・ラウンドの停滞は、WTOを中心とした多角的貿易体制の機能不全を露呈させ、各国が二国間(FTA/EPA)や地域的な貿易協定(TPP、RCEPなど)を重視する傾向を強める一因となりました。 ドーハ・ラウンドは、グローバル化が進む中での先進国と途上国の利害調整の難しさを示す事例となりました。

同義語・略語

DDA, ドーハ開発アジェンダ

関連用語
AIFMD

欧州代替投資ファンド運用者指令

欧州連合(EU)におけるヘッジファンドやプライベートエクイティなど代替投資ファンド(AIF)の運用者(AIFM)に対する規制・監督指令です。投資家保護やシステミックリスク管理を目的として導入されました。「AIFM指令」とも呼ばれます。

Alternative dispute resolution

代替的紛争解決

裁判(訴訟)以外の方法で、当事者間の紛争を解決するための手続きの総称です。仲裁(Arbitration)、調停(Mediation)、あっせんなどが含まれます。「ADR」と略されます。

AML

マネーロンダリング対策

犯罪等で得た不正資金を、正当な資金に見せかけるマネー・ローンダリング(資金洗浄)を防止するための取り組みです。法律、規制、および金融機関などが実施する顧客管理や取引監視といった手続きの総称を指します。金融システムの健全性維持や、犯罪・テロ資金供与の防止を目的としています。

Big Bang

ビッグバン

1986年10月に英国ロンドンの金融市場(シティ)で行われた、証券取引に関する大規模な規制緩和・自由化措置の通称です。固定手数料の廃止や外資参入自由化などが実施されました。

CFTC

米商品先物取引委員会

アメリカ合衆国における商品先物取引およびスワップ(デリバティブ)市場を監督・規制する独立した連邦政府機関です。市場の公正性・透明性の確保や、市場参加者の保護を目的としています。

Chapter 11

チャプター11(連邦破産法第11章)

米国の連邦破産法における手続きの一つで、主に企業が対象となります。裁判所の監督下で事業を継続しながら、債務の整理や事業の再建を目指すことを目的としています。

Common Carriage

コモン・キャリア(公共輸送機関)

不特定多数の荷主に対して、差別なく公平に、公示された料金で輸送サービスを提供する義務を負う輸送事業者のことです。パイプライン、鉄道、一部の海運・航空などが該当する場合があり、規制下に置かれます。

Corporate Governance

コーポレートガバナンス

企業経営を監視・規律し、不正行為の防止や、株主をはじめとするステークホルダー(利害関係者)の利益を考慮した、公正で効率的な経営を実現するための仕組みや体制のことです。「企業統治」と訳されます。

Customs

税関

国境を越えて移動する貨物や旅客、輸送手段などを管理し、関税やその他の税金を徴収し、輸出入に関連する法令(密輸、禁制品、検疫など)を執行する政府機関のことです。

D/A (Documents against Acceptance)

引受渡し

輸入者が為替手形の支払いを引き受けることで船積書類を受け取る決済条件

D/P (Documents against Payment)

支払渡し

輸入者が代金を支払うことと引き換えに船積書類を受け取る決済条件

Dumping

ダンピング(不当廉売)

採算を度外視して、通常の国内販売価格や生産コストよりも著しく低い価格で商品を輸出すること、または国内市場で販売することです。「不当廉売」とも呼ばれ、国際貿易や国内競争において問題視されることがあります。

Economic Sanctions

経済制裁

国際的な平和や安全保障上の問題、人権侵害などを理由に、特定の国、団体、個人に対して、貿易制限、資産凍結、金融取引制限などの経済的な制限措置を課すことです。

Export Control

輸出管理

国際的な安全保障や平和維持などの観点から、特定の貨物(武器、軍事転用可能な汎用品など)や技術が、懸念国やテロリスト等に渡ることを防ぐために、輸出を法律に基づいて規制・管理することです。

Force Majeure

不可抗力

予測不能な事態により契約義務が免除される条項

Foreign Tax Credit

外国税額控除

国際的な二重課税を排除するために、居住国(自国)で所得税や法人税を納める際に、国外で得た所得に対して既にその国(源泉地国)で納付した税額を、自国の税額から一定の限度内で差し引くことができる制度です。

Import Quota

輸入割当(制)

国内産業の保護や需給調整などを目的として、政府が特定の輸入品目について、一定期間内に輸入できる数量や金額に上限(割当枠)を設定する制度、またはその割当枠のことです。「IQ制度」とも呼ばれます。

Import Tariff

輸入関税

外国から輸入される商品に対して、国内産業の保護や財政収入確保のために、その価格や数量を基準として輸入国の政府が課す税金のことです。単に「関税」とも呼ばれます。

Position Limits

ポジション制限(建玉制限)

先物・オプション市場において、特定の市場参加者が保有できる未決済建玉(ポジション)の数量に、取引所や規制当局が設ける上限のことです。相場操縦やリスク集中を防ぐ目的があります。

Price Limit

値幅制限

株式市場や商品先物市場などで、一日の取引における価格の変動幅(上限・下限)を、前日の終値などを基準にあらかじめ定めておく制度のことです。市場の過熱や混乱を防ぐ目的があります。

Tax Treaty

租税条約

租税条約は、二つの国が税金に関するルールを取り決めた国際条約で、同じ所得に対して両国で二重に課税されるのを防ぐために結ばれます。配当や利息、ロイヤルティなどの所得について、どちらの国がどの範囲で課税できるかを定め、企業や個人の国際的な取引や投資を円滑にします。

Workflow

ワークフロー

特定の業務やプロセスを完了させるための一連の作業手順、情報の流れ、担当者の役割などを定義し、可視化したものです。業務の標準化、自動化、効率化のために用いられます。

参考文献

参考文献はありません