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エネルギー資源は経済活動と生活を支える動力源となる資源の総称です。化石燃料(石油・天然ガス・石炭)が一次エネルギーの約80%を占めますが、気候変動対策により再生可能エネルギーへの転換が進んでいます。エネルギー安全保障と脱炭素化の両立が世界的課題となっています。
基本概念
エネルギー資源とは、熱、光、動力などのエネルギーを取り出すことができる資源の総称です。一次エネルギー(自然界に存在する形態)と二次エネルギー(電力、水素など変換後)に分類されます。化石燃料(石油31%、石炭27%、天然ガス23%)、原子力(4%)、再生可能エネルギー(15%)で構成されます。世界のエネルギー消費量は年間約140億トン(石油換算)で、経済成長とともに増加を続けています。
種類と規格
枯渇性資源(化石燃料、ウラン)と再生可能資源(太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱)に大別されます。エネルギー密度により、高密度(石油40MJ/kg、石炭25MJ/kg)、中密度(天然ガス50MJ/kg)、低密度(バイオマス15MJ/kg)に分類されます。利用形態により、燃料(輸送用)、熱源(産業- 民生用)、発電用に区分されます。国際単位はジュール(J)ですが、実務では石油換算トン(toe)、BTU、kWhなど多様な単位が使用されます。
用途と需要
産業部門が最終エネルギー消費の約30%、輸送部門が30%、民生部門(家庭- 業務)が40%を占めます。地域別では、中国(25%)、米国(15%)、インド(7%)、日本(3%)が主要消費国です。用途別では、電力が最終エネルギーの20%を占め、電化率の上昇により2050年には50%に達すると予想されます。エネルギー強度(GDP当たりエネルギー消費)は技術進歩により年率2%改善しています。
市場と価格
エネルギー市場規模は年間約6兆ドルで、世界GDPの約7%を占めます。原油(WTI、ブレント)、天然ガス(ヘンリーハブ、TTF)、石炭(ニューカッスル)、電力(各国卸電力市場)で価格形成されます。エネルギー価格は相互に連動し、地政学リスク、気候変動、炭素価格(EU-ETS 80ユーロ/tCO2)がエネルギー選択に影響を与えています。
環境と規制
エネルギー部門は世界のCO2排出量の約75%を占め、気候変動の主要因です。パリ協定により、2050年カーボンニュートラル達成が国際目標となっています。各国でカーボンプライシング、再エネ導入目標、省エネ規制が強化されています。エネルギー転換により、座礁資産(化石燃料関連投資の価値喪失)リスクが顕在化しています。ESG投資の拡大により、化石燃料からのダイベストメントが進んでいます。
将来展望
IEAは2050年ネットゼロシナリオで、再生可能エネルギー比率を90%まで高める必要があるとしています。電化、水素、CCUS(炭素回収- 利用- 貯留)が脱炭素化の3本柱となります。エネルギー需要は新興国の成長により2050年まで増加しますが、先進国では省エネにより減少に転じます。エネルギー安全保障の観点から、供給源の多様化、自給率向上、備蓄強化が重要性を増しています。
エネルギー資源
WTI原油
WTI(West Texas Intermediate)は米国テキサス州西部で産出される軽質スイート原油です。API比重約40度、硫黄含有量約0.24%という優れた品質を持ち、ニューヨーク商品取引所で最も活発に取引される原油先物の基準となっています。北米原油市場の価格指標として機能します。
クラックスプレッド
クラックスプレッドは、原油価格と石油製品価格の差額で、製油所の精製マージンを表す指標です。エネルギー市場では、3-2-1や2-1-1などの比率で原油と製品の価格差を計算し、精製事業の収益性評価とリスクヘッジに活用される重要な概念です。
API比重
API比重は米国石油協会が定めた原油の密度を表す指標です。水の密度を基準として原油の軽重を数値化したもので、数値が高いほど軽質で、低いほど重質となります。この指標により原油の品質評価や取引価格の決定が行われています。
サワー原油
サワー原油は硫黄含有量が0.5%を超える高硫黄原油です。精製時に高度な脱硫処理が必要で、硫化水素による設備腐食のリスクも高くなります。処理コストは増加しますが、世界の原油埋蔵量の多くを占める重要な資源であり、スイート原油より安価で取引されるため、高度化精製所では経済的メリットがあります。
ジェット燃料/灯油
ジェット燃料と灯油は、原油精製の中間留分から生産される密接に関連した石油製品です。化学的にはほぼ同一の炭素数9-16の炭化水素混合物で、沸点範囲は150-300℃です。ジェット燃料は航空機用に厳格な品質管理が行われ、灯油は家庭用暖房や照明用として使用されます。両者は季節需要の補完関係にあります。
シェールオイル
シェールオイルは頁岩(シェール)層に含まれる非在来型原油です。水平掘削と水圧破砕技術により商業生産が可能となり、2010年代の米国エネルギー革命を主導しました。API比重35-50度の軽質原油が多く、低硫黄で高品質です。米国を世界最大の原油生産国に押し上げ、世界のエネルギー地図を塗り替えました。