API比重
API比重は米国石油協会が定めた原油の密度を表す指標です。水の密度を基準として原油の軽重を数値化したもので、数値が高いほど軽質で、低いほど重質となります。この指標により原油の品質評価や取引価格の決定が行われています。
原油の種類(WTI、ブレント、ドバイ)と品質指標、石油製品(ガソリン、軽油、灯油)の規格と用途を詳細に解説。OPEC の生産調整、在庫動向、季節需要など、価格形成要因を分析。石油精製プロセス、クラックスプレッド、製品間の相関関係についても説明します。
API比重
API比重は米国石油協会が定めた原油の密度を表す指標です。水の密度を基準として原油の軽重を数値化したもので、数値が高いほど軽質で、低いほど重質となります。この指標により原油の品質評価や取引価格の決定が行われています。
ブレント原油
ブレント原油は北海で産出される軽質スイート原油で、国際原油市場の最重要価格指標です。API比重約38度、硫黄含有量約0.37%の高品質原油で、世界の原油取引の約3分の2がブレント価格を基準としています。欧州、アフリカ、中東の原油価格決定に広く使用される国際ベンチマークです。
クラックスプレッド
クラックスプレッドは、原油価格と石油製品価格の差額で、製油所の精製マージンを表す指標です。エネルギー市場では、3-2-1や2-1-1などの比率で原油と製品の価格差を計算し、精製事業の収益性評価とリスクヘッジに活用される重要な概念です。
原油
地下から採掘される未精製の石油。炭化水素を主成分とし、精製により各種石油製品を生産する最も重要なエネルギー資源。
ディーゼル(軽油)
ディーゼル(軽油)は、ディーゼルエンジン用の燃料として使用される石油製品です。炭素数10から20の炭化水素混合物で、沸点範囲は180-360℃です。セタン価により着火性が評価され、ガソリンより燃費効率が高いことが特徴です。トラック、バス、船舶、鉄道、発電機など、産業・商業輸送の基幹燃料として世界経済を支えています。
ドバイ/オマーン原油
ドバイ/オマーン原油はアジア市場の主要価格指標となる中東産中質サワー原油です。ドバイ原油はAPI比重約31度、オマーン原油は約34度で、いずれも硫黄含有量約2%のサワー原油です。アジア向け中東産原油の価格決定基準として、日本、中国、韓国などの原油輸入価格に広く使用されています。
エネルギー資源
エネルギー資源は経済活動と生活を支える動力源となる資源の総称です。化石燃料(石油・天然ガス・石炭)が一次エネルギーの約80%を占めますが、気候変動対策により再生可能エネルギーへの転換が進んでいます。エネルギー安全保障と脱炭素化の両立が世界的課題となっています。
重油/バンカー油
精製過程の最も重い留分から生産される石油製品。船舶燃料(バンカー油)として広く使用され、発電所や工業用ボイラーの燃料としても重要。
ガソリン
ガソリンは原油を精製して得られる最も重要な石油製品の一つで、主に自動車用燃料として使用されます。炭素数4から12の炭化水素混合物で、沸点範囲は30-200℃です。オクタン価により品質が評価され、レギュラー、ハイオク、プレミアムなどのグレードがあります。世界の石油製品需要の約3分の1を占める基幹製品です。
重質原油
重質原油はAPI比重が22.3度以下の高密度原油です。粘度が高く重質留分を多く含むため、精製には高度な設備と技術が必要となります。重油やアスファルトの生産に適していますが、軽質製品を得るためには追加的な処理工程が必要で、一般的に軽質原油より安価で取引されます。
ジェット燃料/灯油
ジェット燃料と灯油は、原油精製の中間留分から生産される密接に関連した石油製品です。化学的にはほぼ同一の炭素数9-16の炭化水素混合物で、沸点範囲は150-300℃です。ジェット燃料は航空機用に厳格な品質管理が行われ、灯油は家庭用暖房や照明用として使用されます。両者は季節需要の補完関係にあります。
軽質原油
軽質原油はAPI比重が31.1度以上の低密度原油です。揮発性成分を多く含み、ガソリンや軽油などの高価値製品の収率が高いため、精製が容易で経済性に優れています。世界の原油市場において最も需要が高く、価格も高値で取引される原油カテゴリーです。
ナフサ
ナフサは原油精製で得られる軽質留分で、石油化学工業の最重要原料です。炭素数5から10の炭化水素混合物で、沸点範囲は30-200℃です。エチレン、プロピレンなどの基礎化学品の原料として、プラスチック、合成繊維、合成ゴムの生産を支えています。また、ガソリン基材や溶剤としても使用される多用途な石油製品です。
シェールオイル
シェールオイルは頁岩(シェール)層に含まれる非在来型原油です。水平掘削と水圧破砕技術により商業生産が可能となり、2010年代の米国エネルギー革命を主導しました。API比重35-50度の軽質原油が多く、低硫黄で高品質です。米国を世界最大の原油生産国に押し上げ、世界のエネルギー地図を塗り替えました。
サワー原油
サワー原油は硫黄含有量が0.5%を超える高硫黄原油です。精製時に高度な脱硫処理が必要で、硫化水素による設備腐食のリスクも高くなります。処理コストは増加しますが、世界の原油埋蔵量の多くを占める重要な資源であり、スイート原油より安価で取引されるため、高度化精製所では経済的メリットがあります。
スイート原油
スイート原油は硫黄含有量が0.5%以下の低硫黄原油です。精製過程での脱硫処理が最小限で済み、環境規制に適合した燃料を効率的に生産できます。硫黄による設備腐食リスクも低く、精製コストの削減が可能なため、サワー原油と比較して高値で取引される高品質原油です。
WTI原油
WTI(West Texas Intermediate)は米国テキサス州西部で産出される軽質スイート原油です。API比重約40度、硫黄含有量約0.24%という優れた品質を持ち、ニューヨーク商品取引所で最も活発に取引される原油先物の基準となっています。北米原油市場の価格指標として機能します。