Multimodal Transport

### 概要 複合輸送（Multimodal Transport または Combined Transport）とは、貨物の出発地から最終目的地までの輸送において、単一の運送契約（複合運送契約）に基づき、運送人（複合運送人、Multimodal Transport Operator, MTO）が、トラック、鉄道、船舶、航空機といった**二つ以上の異なる種類の輸送手段（輸送モード）**を組み合わせて、一貫して貨物を運送する形態のことです。「複合一貫輸送」とも呼ばれます。 ### 特徴 - **単一運送責任:** 荷主は、輸送全体の責任を負う一社の複合運送人（フォワーダーや船会社など）とのみ契約を結びます。複合運送人は、各輸送区間の実運送業者を手配し、荷主に対して全輸送区間の責任を負います。 - **複数の輸送モード:** 異なる輸送モード（例: トラック→鉄道→トラック、トラック→船→トラック）を最適に組み合わせます。 - **通し運賃:** 多くの場合、出発地から最終目的地までの通しの運賃が提示されます。 - **複合運送証券:** 全輸送区間をカバーする運送書類（複合運送証券、Multimodal Transport Document / Combined Transport Document）が発行されることがあります。 ### 利点 - **ドア・ツー・ドア輸送:** 荷主は、複雑な輸送手配を複合運送人に一任でき、出発地から最終目的地までのドア・ツー・ドアでの輸送が可能になります。 - **効率化・コスト削減:** 各輸送モードの利点（例: 鉄道・船舶の大量輸送によるコストメリット、トラックの機動性）を組み合わせることで、輸送全体の効率化やコスト削減が期待できます。 - **環境負荷低減:** トラック輸送から鉄道や船舶への転換（モーダルシフト）により、CO2排出量を削減できます。 ### インコタームズとの関連 インコタームズ2020では、特に「あらゆる輸送手段に対応する規則」（EXW, FCA, CPT, CIP, DAP, DPU, DDP）が、このような複合輸送に適した規則とされています。 複合輸送は、グローバルなサプライチェーンにおいて、効率的かつ柔軟な貨物輸送を実現するための重要な手段となっています。