Omega Ratio

概要

オメガレシオ（Omega Ratio）は、投資のパフォーマンスを評価するためのリスク調整後リターン指標の一つです。他の多くの指標（シャープレシオなど）がリターンの平均と分散（標準偏差）のみに依存するのに対し、オメガレシオはリターンの確率分布全体の情報（特に歪度や尖度といった高次モーメント）を利用してパフォーマンスを評価しようとします。

計算の考え方

1. まず、目標リターン（最低限達成したいリターン水準、MAR: Minimum Acceptable Return とも呼ばれる）を設定します。
2. リターン分布において、この目標リターンを上回る部分（ゲイン領域）の確率加重平均（期待値）を計算します。
3. 同様に、目標リターンを下回る部分（ロス領域）の確率加重平均（期待値、絶対値）を計算します。
4. オメガレシオ = (ゲイン領域の期待値) / (ロス領域の期待値の絶対値) として算出されます。

解釈

オメガレシオは、「目標リターンを上回る期待リターン（ゲイン）」が「目標リターンを下回る期待損失（ロス）」の何倍あるかを示します。値が大きいほど、目標リターンに対する下方リスクに比べて上方への期待が大きく、より望ましいパフォーマンスであると評価されます。通常、1より大きいことが期待されます。

特徴と利用場面

• 分布全体の情報を活用: 平均と分散だけでなく、分布の歪み（スキューネス）や尖り（カートシス、ファットテール）の影響も反映します。
• 目標リターンの設定: 投資家が設定した特定の目標リターン水準に対するパフォーマンスを評価できます。
• 非正規分布への適合性: 金融リターン分布が正規分布でない（歪んでいたりファットテールを持つ）場合に、シャープレシオよりも現実に即した評価ができる可能性があります。
• ファンド評価- 戦略比較: 特にリターン分布が非対称なヘッジファンドなどの評価に用いられることがあります。

注意点

• 計算にはリターンの完全な分布情報が必要であり、計算が複雑になる場合があります。
• 目標リターンの設定によってレシオの値が変わります。
• 他の指標ほど広く一般的に使われているわけではありません。