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プラチナは原子番号78、元素記号Ptで表される希少な貴金属で、銀白色の光沢と極めて高い化学的安定性を持つ金属です。自動車の排ガス浄化触媒や燃料電池の電極材料として産業に不可欠であり、高級宝飾品としても珍重されています。金より希少性が高く、産業需要に支えられた実需のある投資資産として、世界の商品市場で取引される重要な貴金属です。
プラチナ(Platinum)は、原子番号78、元素記号Ptで表される元素です。名称はスペイン語のplatina(小さな銀)に由来し、18世紀にコロンビアで発見された当初は銀の不純物と考えられていました。しかし、その後の研究により金をも溶かす王水にも溶けない極めて安定な金属であることが判明し、「貴金属の王」と称されるようになりました。地殻中の存在量は金の約30分の1と極めて希少で、年間産出量も金の約10分の1程度です。白金族元素(PGM)の代表的な金属として、その優れた触媒作用と化学的安定性から、現代産業に欠かせない戦略的金属となっています。
プラチナは密度21.45g/cm³と金より重く、融点1,768.3℃、沸点3,825℃の高融点金属です。銀白色の光沢を持ち、展延性- 可鍛性に優れ、化学的に極めて安定で酸化や変色をしません。純度は1000分率で表され、宝飾品では950(Pt950)、900(Pt900)、850(Pt850)が一般的です。工業用では999.5以上の高純度品が使用されます。国際取引では、ロンドン- プラチナ- パラジウム市場(LPPM)が定めるグッド- デリバリー- プレート規格(純度999.5以上、重量32.15-192.90トロイオンス)が標準です。日本では造幣局の品位証明刻印制度があり、Pt950以上がプラチナジュエリーとして認定されています。
世界のプラチナ需要は年間約250トンで、自動車触媒が約40%、宝飾品が約30%、工業用途が約20%、投資需要が約10%を占めます。自動車産業では、ディーゼル車の排ガス浄化触媒として窒素酸化物(NOx)の還元に不可欠で、欧州の厳格な排ガス規制に対応するため需要が堅調です。工業用途では、化学工業の触媒、ガラス製造用るつぼ、電子部品、医療機器(ペースメーカー、抗がん剤)など幅広く使用されています。燃料電池では、水素と酸素の反応を促進する電極触媒として将来性が期待されています。宝飾品需要は、変色しない永遠の輝きから、特に日本と中国で結婚指輪として人気があります。
プラチナの国際価格は、ロンドン- プラチナ- パラジウム市場(LPPM)のフィキシング価格とニューヨーク商品取引所(NYMEX)の先物価格が指標となります。ロンドンでは1日2回(午前9時45分と午後2時)、主要ディーラーによる電話会議で基準価格が決定されます。価格は1トロイオンス当たりの米ドル建てで表示されます。歴史的にプラチナは金より高価でしたが、2015年以降は金価格を下回ることが多くなっています。価格変動要因として、自動車生産台数(特にディーゼル車)、南アフリカの供給状況、投資需要、代替技術の開発などがあります。供給の約70%を南アフリカが占めるため、同国の政治- 経済情勢が価格に大きく影響します。
プラチナ投資の手段として、現物では地金バー(インゴット)、プラチナコイン(プラチナイーグル、メープルリーフ等)、プラチナ積立があります。金融商品では、プラチナETF(現物裏付け型)、先物- オプション、鉱山株などがあります。最小取引単位は、現物では5グラムから、先物では50オンス(約1.55kg)が標準です。日本の東京商品取引所では、1グラム単位の小口取引も可能です。保管は専門保管施設やカストディサービスの利用が一般的です。取引コストは現物で2-5%、ETFで年率0.4-0.6%程度です。産業需要に裏付けられた実物資産として、金- 銀とは異なる価格動向を示すため、貴金属ポートフォリオの分散効果が期待できます。
プラチナ市場の将来は、環境規制の強化と水素社会の実現に大きく依存します。自動車業界では、電気自動車(EV)へのシフトにより触媒需要は減少が予想される一方、燃料電池車(FCV)の普及により新たな需要創出が期待されています。水素経済の発展により、水電解装置や定置用燃料電池での需要拡大も見込まれます。医療分野では、抗がん剤や医療機器での利用拡大が続くと予想されます。供給面では、南アフリカの鉱山の深部化によるコスト上昇と、リサイクル技術の向上による二次供給の増加が見込まれます。長期的には、グリーン水素製造やカーボンニュートラル社会の実現において、重要な役割を果たす戦略的金属として位置づけられると考えられています。
["白金"]
パラジウム
パラジウムは原子番号46、元素記号Pdで表される白金族の貴金属で、銀白色の光沢と優れた触媒作用を持つ金属です。ガソリン車の排ガス浄化触媒として需要の大半を占め、電子部品や歯科材料にも使用されています。供給がロシアと南アフリカに集中し、自動車産業の動向に価格が大きく左右される、産業需要主導型の貴金属として商品市場で取引されています。
ロジウム
プラチナグループ金属の中で最も希少で高価な貴金属です。銀白色の硬い金属で、優れた耐食性と高い反射率を持ちます。主に自動車の排ガス浄化触媒として使用され、特に窒素酸化物(NOx)の還元に不可欠な役割を果たしています。
金
金は原子番号79、元素記号Auで表される貴金属で、黄金色の光沢と優れた展延性を持つ最も価値の高い金属の一つです。宝飾品や工業材料として利用されるほか、安全資産として投資対象となり、各国の外貨準備でも重要な役割を果たしています。インフレヘッジや有事の際の避難資産として、世界中の市場で活発に取引される普遍的価値を持つ資産です。
貴金属
貴金属は、希少性が高く化学的に安定で腐食しにくい金属群の総称で、金、銀、プラチナ、パラジウムなどが代表的です。優れた物理的・化学的特性から工業材料として不可欠であり、同時に資産価値を持つ投資対象でもあります。古来より富の象徴として珍重され、現代では産業の発展と金融市場の安定に重要な役割を果たす戦略的資源です。
イリジウム
白金族元素の中で最も密度が高く、最も耐腐食性に優れた金属です。極めて硬く脆い性質を持ち、主に電子材料や化学工業の触媒として使用されます。宇宙産業や高温環境下での特殊用途にも利用される、極めて希少な貴金属です。
ルテニウム
白金族元素の一つで、銀白色の硬い金属です。電子工業での需要が急増しており、特にハードディスクドライブの記録密度向上や、次世代メモリ素子の材料として注目されています。化学工業の触媒としても重要な役割を果たしています。
銀
銀は原子番号47、元素記号Agで表される貴金属で、白い光沢と全金属中最高の電気伝導性・熱伝導性を持つ金属です。工業用途として電子部品や太陽光パネルに不可欠な材料であり、投資資産としても金に次ぐ重要性を持っています。価格変動が大きいことから「貧者の金」とも呼ばれ、産業需要と投資需要の両面から世界市場で活発に取引されています。