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従来の3, 6, 9, 12月の限月に加え、期近の限月を追加し、毎月連続して限月が来るようにしたもの。
シリアル(Serial)とは、従来の3月、6月、9月、12月の四半期限月に加え、期近の限月を追加し、毎月連続して限月が来るようにした先物取引の仕組みです。例えば、従来は3月限の次が6月限でしたが、シリアル・システムでは4月限、5月限も追加されます。これにより、投資家はより柔軟な期間設定でヘッジや投資を行うことができ、特に短期的なリスク管理において重要な役割を果たします。主に短期金利先物や通貨先物で採用されています。
シリアル・システムは、1980年代後半に米国の先物取引所で導入されました。従来の四半期限月システムでは、期近限月の満期が近づくと次の限月まで3ヶ月の空白期間が生じ、短期的なヘッジニーズに対応できませんでした。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が1987年にユーロドル先物で初めてシリアル限月を導入し、その後他の商品や取引所にも拡大しました。日本では1990年代に東京金融取引所(現在の東京金融取引所)が短期金利先物でシリアル・システムを採用しました。
期近シリアル限月では、通常は直近の4-8限月について毎月の限月が設定されます。例えば、現在が1月の場合、2月限、3月限、4月限、5月限などが同時に上場されています。
四半期限月との併存では、シリアル限月と従来の四半期限月が同時に上場されます。期近はシリアル限月、期先は四半期限月という構成が一般的です。
ロールオーバー・パターンでは、シリアル限月の満期が近づくと、次のシリアル限月または四半期限月にポジションを移管(ロールオーバー)することが多くなります。
ユーロドル先物では、期近の8限月についてシリアル限月が設定されています。短期金利の細かな変動をヘッジしたい機関投資家のニーズに対応しています。
TIBOR先物などの円金利先物でも、期近限月についてシリアル・システムが採用されています。日本の短期金融市場の参加者が、より精密な金利リスク管理を行うことが可能になっています。
主要通貨ペアでは、ドル/円、ユーロ/ドルなどの流動性の高い通貨ペアでシリアル限月が設定されています。輸出入企業や金融機関が、より柔軟な期間設定で為替ヘッジを行うことができます。
新興国通貨でも、一部の通貨でシリアル・システムが導入されており、短期的な為替リスク管理のニーズに対応しています。
精密なヘッジでは、ヘッジしたい期間とより正確に一致する限月を選択できるため、ベーシス・リスク(期間のミスマッチによるリスク)を軽減できます。
段階的ヘッジでは、複数のシリアル限月を組み合わせて、時間の経過とともに段階的にヘッジ比率を調整する戦略が可能になります。
流動性の分散では、シリアル限月の導入により取引が複数の限月に分散され、個別限月の流動性が低下する場合があります。
価格発見機能では、より多くの限月で価格形成が行われることで、金利や為替の期間構造(イールドカーブやフォワードカーブ)がより詳細に反映されます。
カレンダー・スプレッドでは、隣接するシリアル限月間の価格差を利用した取引戦略が可能になります。月次の季節性や短期的な需給要因を活用した投資が行えます。
ロールオーバー戦略では、シリアル限月から四半期限月への移行タイミングを戦略的に選択することで、取引コストの最適化が図れます。
代替可能性
ある商品のどの単位も品質が同じで、区別なく交換可能であるという性質のことです。「同質性」とも呼ばれます。この性質が、取引所での効率的な標準化取引を可能にする基盤となります。
コントラクト
コントラクトは、先物取引における標準化された取引単位で、1枚の契約が表す商品の数量を指します。日経225先物なら指数×1,000円、原油先物なら1,000バレルなど、商品ごとに定められた単位で取引され、ポジション管理や損益計算の基準となる重要な概念です。
売付取引
売付取引は、先物やオプション市場において売り注文を出して約定させる取引行為です。価格の下落を期待する場合や、買いポジションを決済する場合に行われます。新規に売る場合は「新規売り」、買いポジションを決済する場合は「転売」と呼ばれ、現物を持たずに売りから入れる点が先物取引の大きな特徴です。
転売
転売は、買いポジション(ロングポジション)を決済するために行う売り注文のことです。買い建てした先物契約を売却することで、ポジションをクローズし、損益を確定させます。利益確定、損切り、満期前の清算など、取引を終了させる基本的な決済行為です。
買付取引
買付取引は、先物やオプション市場において買い注文を出して約定させる取引行為です。価格の上昇を期待する場合や、売りポジションを決済する場合に行われます。新規に買う場合は「新規買い」、売りポジションを決済する場合は「買戻し」と呼ばれ、取引の基本的な行為の一つです。
中心限月
中心限月は、先物市場において最も活発に取引されている限月のことです。通常、期近限月や第一限月がこれに該当し、流動性が高く、売買スプレッドが狭いため、多くのトレーダーが取引の中心とする限月です。市場の価格発見機能が最も効果的に働く限月でもあります。
買戻し
買戻しは、売りポジション(ショートポジション)を決済するために行う買い注文のことです。空売りした先物契約を買い戻すことで、ポジションをクローズし、損益を確定させます。利益確定、損切り、または満期前の清算など、さまざまな理由で実行される基本的な決済行為です。
手仕舞い
手仕舞いは、保有している先物やオプションのポジションを反対売買により決済する行為です。買いポジションは売りで、売りポジションは買いで決済します。利益確定や損切り、満期前の清算など、さまざまな理由で行われる取引の終了プロセスで、ポジション管理の最も重要な判断の一つです。