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テールリスクとは、確率分布の端(テール)に位置する非常にまれな事象によって生じる損失のリスクを指します。通常の市場環境ではほとんど発生しないとされる極端な価格変動や連鎖的な破綻などが、実際には無視できない頻度で発生することがあります。
これらのリスクは、通常のリスク評価モデル(たとえば正規分布を前提とするもの)では過小評価されやすく、金融危機や自然災害、大規模サイバー攻撃などにより実際に大きな損失が発生する可能性があります。
テールリスクとは、めったに起こらないけれど、起きたときには非常に大きな損失や影響をもたらすリスクのことです。統計のグラフでいうと、分布の端(テール)に位置する出来事を指します。
たとえば、株価が1日に30パーセント下落する、為替が一晩で10円動くといったような現象がこれにあたります。日常的には起きにくいとされますが、完全に無視することはできません。
テールリスクはファットテールとよく似ていますが、見ている角度が少し違います。
比較項目 | ファットテール | テールリスク |
---|---|---|
主な意味 | 極端な出来事が起こりやすい分布の形 | 極端な出来事そのものやその影響 |
強調する対象 | 統計的な性質(分布の特徴) | 実務上のリスク(損失の可能性) |
用いられる場面 | データ分析、モデルの評価 | リスク管理、備え、シナリオ分析 |
例え | 竜巻がよく起きる地形 | 竜巻が実際に家を直撃するかもしれない |
ファットテールが「起きやすさ」の話であるのに対し、テールリスクは「起きたらどうなるか」の話といえます。
ブラックスワン
ブラックスワンとは、「発生確率が極めて低く予測できないが、ひとたび起これば非常に大きな影響をもたらす出来事」のことです。元々は「白鳥は白いもの」という常識が、黒い白鳥の発見で覆されたことに由来し、「ありえないと思われていたが、実際には起きることがある」という意味が込められています。 この概念は、ナシーム・ニコラス・タレブによって広まりました。リーマンショックやパンデミック、大規模テロなどは、過去のデータや常識では予測できなかった例として引用されます。
非システマティックリスク
非システマティックリスクは、個別企業や特定商品に固有のリスクで、分散投資により軽減可能なリスクです。商品市場では、特定産地の天候不順、個別鉱山の事故、特定企業の財務問題などが該当します。適切なポートフォリオ構築により、このリスクを最小化しながら、システマティックリスクに見合うリターンを追求します。
カウンターパーティーリスク
カウンターパーティーリスクは、取引相手が契約上の義務を履行できなくなるリスクです。商品取引では、現物の引渡し、代金決済、デリバティブ取引の履行など、様々な場面で発生します。取引相手の信用力評価、担保管理、ネッティング契約などにより管理され、中央清算機関の利用により軽減されます。
システマティックリスク
システマティックリスクは、市場全体に影響を与える要因により生じる、分散投資では回避できないリスクです。金融危機、景気循環、金利変動、地政学的事象などが要因となります。商品市場では、世界的な需給バランス、通貨変動、規制変更などが該当し、ベータで測定されることが多い市場リスクの基本要素です。
レピュテーショナルリスク
レピュテーショナルリスクは、企業の評判や信用が損なわれることにより、顧客離れ、取引制限、資金調達困難などの損失を被るリスクです。商品取引では、市場操作疑惑、ESG問題、品質問題などが評判リスクの源となります。透明性の確保、倫理的行動、迅速な危機対応により管理します。
信用リスク
Credit Riskとは、取引相手が契約どおりにお金を払えなくなるリスクのことです。たとえば、商品を売ったのに代金が支払われなかったり、借金の返済が滞ったりするようなケースです。企業、個人、国など、あらゆる相手との取引に付きまとう基本的なリスクです。
市場リスク(マーケットリスク)
市場リスクは、金利、為替、株価、商品価格などの市場価格の変動により、保有資産の価値が変動するリスクです。商品取引では、原油、金属、農産物などの価格変動が主要な市場リスクとなります。ボラティリティの高い商品市場では、適切な管理が収益性と安定性の鍵となります。
規制リスク
規制リスクは、法規制の変更、新規制の導入、規制解釈の変更により事業活動が制約されるリスクです。商品取引では、ポジション制限、証拠金規制、環境規制、貿易規制などが主要な規制リスクです。グローバルな規制動向の監視と、早期の対応準備により、規制変更による影響を最小化します。