Treynor Ratio

概要

トレイナーレシオ（Treynor Ratio）は、ジャック- トレイナー氏によって考案された、投資パフォーマンスを評価するためのリスク調整後リターン指標の一つです。ポートフォリオの超過リターン（リスクフリーレートを上回るリターン）を、そのポートフォリオが負っているシステマティックリスク（市場全体のリスクに対する感応度を示すベータ値）で割ることによって計算されます。

計算式

トレイナーレシオ = (ポートフォリオのリターン - 無リスク資産のリターン) / ポートフォリオのベータ (β)

解釈

この指標は、「負担したシステマティックリスク（市場リスク）1単位あたりで、どれだけの超過リターンを獲得できたか」を示します。値が高いほど、市場リスクに対して効率的にリターンを上げていると評価されます。

シャープレシオとの違い

• リスク尺度: シャープレシオがリスク尺度としてポートフォリオの**トータルリスク（標準偏差）を用いるのに対し、トレイナーレシオはシステマティックリスク（ベータ）**を用います。
• 前提: トレイナーレシオは、投資家が十分に分散されたポートフォリオを保有しており、考慮すべきリスクは市場全体に連動するシステマティックリスクのみである、という資本資産価格モデル（CAPM）の考え方を背景にしています。

利用場面

• 分散されたポートフォリオの評価: 個別銘柄ではなく、十分に分散化された投資信託やポートフォリオ全体のパフォーマンスを評価する際に適しているとされます。
• ポートフォリオの一部としての評価: ある資産を、大規模で分散されたポートフォリオの一部として組み入れる際の貢献度（システマティックリスクに対するリターン）を評価する場合にも用いられます。

注意点

• ベータ値の推定精度に結果が依存します。
• ポートフォリオの分散が不十分な場合、トータルリスクを反映するシャープレシオの方が適切な評価指標となる場合があります。
• マイナスリターンの場合の解釈には注意が必要です。