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コモディティ取引用語辞典トレタム

コモディティ取引に関する専門用語を学べる総合用語集

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    Watch List

    ウォッチリスト(監視リスト)

    信用リスク

    ウォッチリストは、信用状態に懸念がある取引先を特別管理する仕組みです。商品取引では、財務悪化、支払い遅延、格付け低下などの兆候がある先を登録し、頻繁なモニタリング、与信条件の厳格化、早期対応を実施します。

    基本概念

    ウォッチリストは、信用状態に何らかの懸念が生じた取引先を特別に管理- 監視するための早期警戒システムです。商品取引においては、財務状況の悪化、支払いパターンの変化、市場環境の悪化、経営陣の交代など、将来のデフォルトリスク上昇を示唆する兆候が見られる取引先を、通常の与信管理より高い頻度と深度でモニタリングすることで、損失の未然防止または最小化を図ります。正常先とデフォルト先の間のグレーゾーンを管理する重要なツールです。

    ウォッチリストの意義は、リスクの早期発見と予防的対応にあります。完全に悪化してからでは対応の選択肢が限られますが、早期の段階であれば、与信条件の見直し、担保の追加徴求、エクスポージャーの削減、取引構造の変更など、様々な対策を講じることができます。商品取引では、価格変動によりエクスポージャーが急速に拡大する可能性があるため、早期対応が特に重要です。

    ウォッチリスト登録基準

    明確な基準により、客観的な登録判定を行います。

    定量的基準により、財務指標の悪化を捕捉します。売上高の急減(前年比20%以上減少)、赤字転落、自己資本比率の低下(20%未満)、流動比率の悪化(100%未満)などを基準とします。商品取引企業では、在庫回転率の悪化、ヘッジ比率の低下、運転資本の増加なども重要な指標です。業界平均との乖離、トレンドの悪化も考慮します。

    定性的基準により、数値に表れない変化を捉えます。経営陣の交代(特にCEO、CFO)、主要株主の変更、事業戦略の大幅転換、重要な訴訟の発生、規制違反、ネガティブな報道などが該当します。商品取引では、主要取引先の喪失、重要な供給契約の解除、生産設備の事故なども登録要因となります。

    市場シグナルにより、市場の評価を反映します。株価の急落(30%以上の下落)、格付けの引き下げ(ネガティブウォッチ含む)、CDSスプレッドの拡大(100bp以上)、債券価格の下落などを監視します。商品取引では、商品価格との相対パフォーマンス、同業他社との比較も重要です。

    ウォッチリストのカテゴリー

    リスクレベルに応じた分類管理を行います。

    **イエローリスト(注意先)**は、軽度の懸念がある先です。一時的な業績悪化、限定的な財務指標の悪化、軽微な支払い遅延などが該当します。通常の倍の頻度でモニタリングし、新規与信は慎重に検討します。商品取引では、価格下落による一時的な収益悪化、季節要因による資金繰り悪化などがこのカテゴリーに入ります。

    **オレンジリスト(警戒先)**は、中程度の懸念がある先です。継続的な業績悪化、複数の財務指標の悪化、繰り返される支払い遅延などが該当します。週次または日次でモニタリングし、新規与信は原則停止、既存エクスポージャーの削減を検討します。商品取引では、ヘッジ損失の拡大、在庫評価損の発生などが警戒要因となります。

    **レッドリスト(危険先)**は、深刻な懸念がある先です。債務超過の可能性、流動性危機、デフォルトの兆候などが該当します。日次で集中管理し、新規取引は完全停止、既存エクスポージャーの即時削減、担保の確保などを実施します。商品取引では、決済不能のリスク、在庫の差押えリスクなどに備えます。

    モニタリング体制

    ウォッチリスト先への集中的な監視体制を構築します。

    専門チームによる管理により、専門性の高い対応を実現します。クレジットアナリスト、法務担当、回収専門家などで構成される特別管理チームを設置します。商品取引では、商品市場の専門家、物流の専門家も参加します。定期的なレビュー会議を開催し、状況評価と対応策を協議します。

    高頻度モニタリングにより、変化を迅速に把握します。財務情報の月次更新、支払い状況の週次確認、市場情報の日次収集などを実施します。商品取引では、在庫レポート、ポジションレポート、資金繰り表なども高頻度で入手します。自動アラートシステムにより、重要な変化を即座に検知します。

    経営層への報告により、組織的な対応を確保します。ウォッチリストの状況を定期的に経営層に報告し、重要な意思決定を仰ぎます。月次のリスク委員会、四半期の取締役会などで、リスト全体の状況、個別重要先の詳細、対応策の進捗などを報告します。

    対応策の実施

    ウォッチリスト登録後の具体的な対応を実施します。

    与信条件の見直しにより、リスクを軽減します。与信限度の削減、取引条件の厳格化(後払いから前払いへ)、決済期間の短縮などを実施します。商品取引では、価格決定方法の変更(固定価格から変動価格へ)、数量制限、品質条件の厳格化なども行います。既存契約の変更には、取引先との交渉が必要です。

    担保- 保証の強化により、損失を限定します。追加担保の徴求、親会社保証の取得、信用保険の付保などを実施します。商品取引では、在庫への担保設定、倉庫証券の取得、船荷証券の確保などが重要です。法的な有効性を確認し、対抗要件を具備します。

    エクスポージャーの削減により、リスク総量を減少させます。新規取引の抑制、既存ポジションの解消、他社への債権譲渡などを実施します。商品取引では、在庫の早期処分、長期契約の短縮、デリバティブポジションのクローズなども検討します。ただし、急激な削減は取引関係を悪化させる可能性があります。

    システムとプロセス

    効率的なウォッチリスト管理のためのインフラを整備します。

    統合管理システムにより、情報を一元化します。取引先情報、財務データ、取引データ、市場データを統合し、ウォッチリスト判定を自動化します。商品取引では、商品ポジション、価格情報、物流情報なども統合します。

    ワークフロー管理により、対応プロセスを標準化します。登録提案、承認、通知、対応策実施、モニタリング、解除の各ステップを管理します。タスク管理、期限管理、エスカレーション機能により、確実な実行を担保します。商品取引では、現物部門とデリバティブ部門の連携も重要です。

    文書管理と監査証跡により、コンプライアンスを確保します。登録理由、判定根拠、対応策、経過記録などを文書化し、保管します。内部監査、外部監査に対応できる証跡を維持します。規制当局への報告要件も満たします。

    ウォッチリスト解除基準

    改善が確認された場合の解除プロセスを明確化します。

    定量的改善の確認により、客観的な解除判定を行います。財務指標の改善(2期連続の黒字化など)、格付けの向上、支払い正常化(6か月以上遅延なし)などを基準とします。商品取引では、在庫水準の正常化、ヘッジ比率の改善、資金繰りの安定化なども評価します。

    定性的要因の評価により、持続可能性を判断します。経営体制の安定化、事業戦略の明確化、主要取引先との関係改善などを確認します。商品取引では、長期供給契約の締結、新規市場の開拓、設備投資の実施なども前向きな要因です。

    段階的な正常化により、慎重に管理を緩和します。レッドからオレンジ、オレンジからイエロー、イエローから正常先へと段階的に移行します。各段階で一定期間の観察期間を設け、改善の持続性を確認します。性急な解除は再悪化のリスクがあります。

    効果測定と改善

    ウォッチリスト制度の有効性を継続的に評価します。

    予測精度の検証により、基準の妥当性を評価します。ウォッチリスト登録先のその後のデフォルト率、正常先のデフォルト率を比較し、判別力を評価します。False Positive(過剰な登録)とFalse Negative(見逃し)のバランスを最適化します。商品取引では、商品価格シナリオ別の検証も重要です。

    コスト効果分析により、制度の効率性を評価します。ウォッチリスト管理により回避できた損失、早期回収による効果、管理コストなどを定量化します。費用対効果を検証し、リソース配分を最適化します。

    ベストプラクティスの導入により、継続的に改善します。他社事例、業界標準、規制ガイダンスなどを参考に、制度を改善します。商品取引では、国際的な慣行、商品別の特性なども考慮します。定期的な制度見直しを実施します。

    将来の展望

    ウォッチリスト管理は

    予測分析の高度化により、より早期の検知が可能になっています。テキストマイニング、画像認識、音声分析なども活用し、多角的な情報から判定します。

    リアルタイム化により、即応性が向上しています。ストリーミングデータ処理により、リアルタイムでウォッチリスト判定を更新します。市場イベント、ニュース、ソーシャルメディアなどを即座に反映します。自動対応システムにより、人的介入なしに初動対応も可能になりつつあります。

    ネットワーク分析により、連鎖リスクを管理します。取引先間の関係性を分析し、ドミノ倒し的な信用悪化を予測します。グラフデータベース、ネットワーク理論により、見えないリスクを可視化します。商品取引では、サプライチェーン全体のリスク伝播を分析します。

    同義語・略語

    監視リスト

    関連用語
    Contingency Fund

    緊急時基金

    予算やプロジェクト計画などにおいて、予期せぬ出来事(コスト超過、事故、災害など)が発生した場合に備えて、あらかじめ確保しておく資金枠や予算項目のことです。

    Credit Spread Risk

    クレジットスプレッドリスク

    クレジットスプレッドリスクは、信用スプレッドの変動により損失が発生するリスクです。商品取引では、取引先企業の信用力変化、市場環境悪化により、保有ポジションの評価損や資金調達コスト上昇が生じます。

    LGD (Loss Given Default)

    デフォルト時損失率

    デフォルト時損失率(LGD)は、債務不履行が発生した場合に失われる債権額の割合です。商品取引では、担保価値、優先順位、回収プロセスの効率性により変動します。通常40-60%程度ですが、無担保取引では100%近くになることもあり、期待損失計算の重要要素です。

    Collateral

    担保

    担保は、債務不履行時の損失を軽減するために徴求する資産や権利です。商品取引では、商品在庫、売掛金、倉庫証券、信用状、預金などを担保とします。適切な評価、法的有効性の確保、継続的な管理が信用リスク軽減の鍵となります。

    Settlement Risk

    決済リスク

    決済リスクは、取引の決済過程で相手方が義務を履行しない、または遅延するリスクです。商品取引では、商品引渡しと代金支払いの時間差、異なる法域間の決済などで発生します。DVP(同時決済)、エスクロー、信用状の活用により軽減を図ります。

    Netting

    ネッティング

    ネッティングは、同一取引先との債権債務を相殺し、純額で決済する仕組みです。商品取引では、売買取引、デリバティブ、複数通貨の取引を包括的に相殺します。法的有効性の確保により、信用リスクと決済リスクを大幅に削減できます。

    PD (Probability of Default)

    デフォルト確率

    デフォルト確率(PD)は、債務者が一定期間内にデフォルトする確率を示す指標です。商品取引では、取引先の財務状況、市場環境、業界動向から推定します。格付け、統計モデル、市場情報を組み合わせて算出し、与信判断と期待損失計算の基礎となります。

    Credit Limit

    与信限度額

    与信限度は、取引先に対して供与できる信用の上限額です。商品取引では、売掛金、在庫委託、デリバティブエクスポージャーなどの合計額を管理します。信用力、取引実績、担保状況により設定し、定期的に見直します。

    参考文献
    金融庁:与信管理と顧客スクリーニング
    www.fsa.go.jp