Weather Derivative

### 概要 天候デリバティブ（Weather Derivative）とは、気温（平均気温、暖房度日HDD/冷房度日CDD）、降水量、降雪量、風速、日照時間といった「天候」に関連する客観的な指標（指数）の値に基づいて、あらかじめ定められた条件に従って金銭の支払いが行われるデリバティブ（金融派生商品）契約の総称です。 ### 保険との違い 天候保険が「実際に発生した損害」を補償するのに対し、天候デリバティブは、契約で定められた天候指標が特定の条件を満たした場合に、実際の損害の有無にかかわらず契約に基づいた金額が支払われます。 ### 主な種類 - **オプション型:** 特定の天候条件発生時に支払いを受け取る（または支払う）権利。 - **スワップ型 (天候スワップ):** 天候指標に基づく変動キャッシュフローと固定キャッシュフロー等を交換。 ### 利用目的 天候変動によって事業収益等が影響を受ける企業などが、そのリスクをヘッジするために利用します。 - **エネルギー業界:** 冷夏・暖冬による需要変動リスク。 - **農業:** 干ばつ、低温などによる不作リスク。 - **小売・レジャー:** 天候不順による売上減少リスク。 - **建設:** 工事遅延リスクなど。 ### 特徴と注意点 - **客観的指標:** 公的機関等の気象データに基づき決済されるため、損害査定が不要です。 - **ベーシスリスク:** ヘッジ対象リスクと天候指標との連動性が完全でない場合、ヘッジ効果が得られないリスクがあります。 - **相対取引中心:** 主に保険会社や金融機関との間で相対取引（OTC）で組成されます。 天候デリバティブは、従来ヘッジが難しかった天候リスクに対する財務的なリスク管理手段を提供します。