カカオは、チョコレートの主原料となる熱帯作物で、種子(カカオ豆)を発酵・乾燥させて製品化します。コートジボワール、ガーナが世界生産の60%を占め、ICEカカオ先物が価格指標です。児童労働、森林破壊などの課題を抱え、認証制度による持続可能な生産への転換が進められています。
カカオ(Cocoa、Theobroma cacao)は、アオイ科の常緑樹で、その種子(カカオ豆)がチョコレートやココアの原料となる重要な熱帯作物です。「神々の食べ物」を意味する学名を持ち、中南米原産で、現在は西アフリカが主産地です。果実(カカオポッド)内の20-50個の種子を、発酵、乾燥、焙煎することで、独特の香味が生成されます。年間生産量は約500万トンで、世界のチョコレート産業を支える基幹作物です。
カカオには3つの主要系統があります。クリオロ種は、最高品質で香り高いが、病害に弱く生産量の1%未満です。フォラステロ種は、病害に強く多収で、全生産の80-85%を占める主力品種です。トリニタリオ種は、両者の交配種で、品質と収量のバランスが良く、15-20%を占めます。栽培は赤道の南北20度以内、年間気温20-30℃、降水量1,500mm以上の高温多湿地域で、日陰樹の下で育成されます。
カカオ生産は労働集約的です。年2回の収穫期に、熟したポッドを手作業で収穫します。種子を取り出し、バナナの葉で覆い5-7日間発酵させます。この発酵過程で、チョコレートの前駆体となる香味成分が生成されます。天日乾燥により水分を7%以下にし、カカオ豆となります。輸出後、消費国で焙煎、破砕、磨砕を経て、カカオマス、カカオバター、ココアパウダーに加工されます。
カカオ市場は、供給集中と需要分散が特徴です。コートジボワール(約45%)とガーナ(約20%)で世界生産の2/3を占めます。価格は、ICE Futures USとICE Europe(ロンドン)のカカオ先物で形成されます。西アフリカの天候、病害(ブラックポッド病)、政治不安が価格変動要因です。ヨーロッパが最大の加工地域で、需要は安定成長しています。プレミアムカカオ(ファインフレーバー)は、通常価格の2-3倍で取引されます。
カカオ産業は深刻な課題に直面しています。児童労働(西アフリカで約150万人)、森林破壊(年間20万ヘクタール)、小規模農家の貧困(1日2ドル以下)が問題となっています。対策として、レインフォレスト- アライアンス、フェアトレード、UTZ認証による持続可能な生産が推進されています。大手チョコレート企業は、2025年までに100%持続可能なカカオ調達を宣言しています。
カカオ豆
コーヒー(アラビカ種)
アラビカ種コーヒーは、高品質で香り豊かな味わいを持つコーヒーの主要品種です。標高1,000m以上の高地で栽培され、全コーヒー生産の約60%を占めます。ブラジル、コロンビア、エチオピアが主産地で、ICEコーヒーC先物が国際価格指標です。気候変動に脆弱で、品質により大きな価格差が生じます。
コーヒー(ロブスタ種)
ロブスタ種コーヒーは、病害虫に強く収量の多いコーヒー品種です。低地でも栽培可能で、全生産の約40%を占めます。ベトナム、ブラジル、インドネシアが主産地で、主にインスタントコーヒーやエスプレッソブレンドに使用されます。ICE Europeのロブスタ先物が価格指標で、アラビカ種より安価で取引されます。
コーヒー
コーヒーは、コーヒーノキの果実から採取される種子(コーヒー豆)を焙煎して作る嗜好飲料の原料です。アラビカ種とロブスタ種が主要品種で、ブラジル、ベトナム、コロンビアが主要生産国です。品質、産地、加工方法により価格が大きく異なり、世界第2位の取引規模を持つ重要な農産物商品です。
オレンジジュース
オレンジジュースは、オレンジを搾汁した果汁飲料で、濃縮還元と非濃縮(NFC)に分類されます。ブラジル、米国フロリダが主要生産地で、ICE冷凍濃縮オレンジジュース先物が価格指標です。柑橘類の病害や異常気象により供給が不安定で、健康志向による需要変化も加わり、価格変動の大きい商品です。
茶(チャ)
茶は、チャノキの葉を加工した世界で水に次いで最も消費される飲料の原料です。緑茶、紅茶、ウーロン茶など発酵度により分類され、中国、インド、ケニア、スリランカが主要生産国です。健康効果への注目から需要が拡大し、品質や産地により価格が大きく異なる嗜好品として、独自の市場を形成しています。