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地下から採掘される未精製の石油。炭化水素を主成分とし、精製により各種石油製品を生産する最も重要なエネルギー資源。
原油(Crude Oil)は、地下の油層から採掘される液体の化石燃料で、数百万年前の海洋生物の遺骸が地中で高温- 高圧を受けて生成された炭化水素の混合物です。世界のエネルギー供給の約31%を占め、現代文明を支える最も重要なエネルギー資源の一つです。
原油の組成:
原油の分類基準:
1. 密度による分類(API比重)
2. 硫黄含有量による分類
3. 化学組成による分類
精製による主要製品:
世界の原油市場:
主要生産国(2023年)
価格指標原油
確認埋蔵量
世界の確認埋蔵量は約1.7兆バレル(2023年)で、現在の生産ペースで約50年分に相当します。
原油の重要性:
1. エネルギー安全保障
国家の経済活動と安全保障に直結する戦略物資として、各国が備蓄政策を実施。
2. 経済への影響
原油価格の変動は、インフレ率、貿易収支、為替レートに大きな影響を与えます。
3. 地政学的要因
産油国の政治情勢、OPEC+の生産調整、国際紛争などが価格に影響。
4. エネルギー転換
脱炭素化の流れの中でも、化学原料としての需要は継続すると予想されています。
原油は、再生可能エネルギーへの移行期においても、その汎用性と既存インフラの規模から、今後数十年間は主要エネルギー源としての地位を維持すると考えられています。
Crude
WTI原油
WTI(West Texas Intermediate)は米国テキサス州西部で産出される軽質スイート原油です。API比重約40度、硫黄含有量約0.24%という優れた品質を持ち、ニューヨーク商品取引所で最も活発に取引される原油先物の基準となっています。北米原油市場の価格指標として機能します。
クラックスプレッド
クラックスプレッドは、原油価格と石油製品価格の差額で、製油所の精製マージンを表す指標です。エネルギー市場では、3-2-1や2-1-1などの比率で原油と製品の価格差を計算し、精製事業の収益性評価とリスクヘッジに活用される重要な概念です。
エネルギー資源
エネルギー資源は経済活動と生活を支える動力源となる資源の総称です。化石燃料(石油・天然ガス・石炭)が一次エネルギーの約80%を占めますが、気候変動対策により再生可能エネルギーへの転換が進んでいます。エネルギー安全保障と脱炭素化の両立が世界的課題となっています。
API比重
API比重は米国石油協会が定めた原油の密度を表す指標です。水の密度を基準として原油の軽重を数値化したもので、数値が高いほど軽質で、低いほど重質となります。この指標により原油の品質評価や取引価格の決定が行われています。
サワー原油
サワー原油は硫黄含有量が0.5%を超える高硫黄原油です。精製時に高度な脱硫処理が必要で、硫化水素による設備腐食のリスクも高くなります。処理コストは増加しますが、世界の原油埋蔵量の多くを占める重要な資源であり、スイート原油より安価で取引されるため、高度化精製所では経済的メリットがあります。
ジェット燃料/灯油
ジェット燃料と灯油は、原油精製の中間留分から生産される密接に関連した石油製品です。化学的にはほぼ同一の炭素数9-16の炭化水素混合物で、沸点範囲は150-300℃です。ジェット燃料は航空機用に厳格な品質管理が行われ、灯油は家庭用暖房や照明用として使用されます。両者は季節需要の補完関係にあります。
シェールオイル
シェールオイルは頁岩(シェール)層に含まれる非在来型原油です。水平掘削と水圧破砕技術により商業生産が可能となり、2010年代の米国エネルギー革命を主導しました。API比重35-50度の軽質原油が多く、低硫黄で高品質です。米国を世界最大の原油生産国に押し上げ、世界のエネルギー地図を塗り替えました。