危険物申告書は危険物輸送時の必須書類で、物質の分類、UN番号、梱包等級などを記載します。IMDG CodeやIATA規則に準拠し、安全な輸送のための取扱い指示を含みます。虚偽申告は重大な法的責任を伴います。
Dangerous Goods Declaration(危険物申告書、DGD)は、危険物の輸送に際して荷送人が作成する必須書類です。国連危険物輸送勧告に基づく分類、識別、包装、表示、文書化の要求事項を満たし、輸送関係者に危険物の存在と取扱い方法を正確に伝達します。海上輸送ではIMDGコード、航空輸送ではIATA危険物規則書(DGR)に準拠した申告が必要です。
9つの危険物クラス:
必須情報:UN番号(4桁の識別番号)、正式輸送品目名(PSN)、危険物クラス、容器等級(PG I、II、III)、海洋汚染物質の該当有無を正確に記載します。
技術的情報:引火点、管理温度、緊急時対応措置番号(EmS)、医療応急処置指針番号(MFAG)など、安全確保に必要な詳細情報を提供します。
梱包情報:UN規格容器の使用、容器の種類とコード、正味量と総重量を記載します。
危険物申告書への署名により、荷送人は申告内容の正確性と規則への適合性について全責任を負います。虚偽申告や申告漏れは、重大事故につながる可能性があり、刑事訴追、巨額の損害賠償、輸送拒否などの制裁を受けます。2020年のベイルート港爆発事故は、危険物管理の不備がもたらす破滅的な結果を示しています。
異なる危険物を同一コンテナや貨物区画に積載する場合、隔離要件を遵守する必要があります。例えば、酸化性物質と可燃性物質は「Away from(3m以上離す)」、毒物と食品は「Separated from(仕切りで隔離)」など、詳細な隔離基準が定められています。
IMDG CodeやIATA DGRは、危険物取扱者に対する定期的な教育訓練を義務付けています。荷送人、梱包作業者、フォワーダー、運送人のすべての関係者が、2年ごとに再訓練を受ける必要があります。訓練記録の保管も義務化されており、監査時に提示が求められます。
電子危険物申告(e-DGD)システムの導入により、記載ミスの削減と処理時間の短縮を実現しています。
Dangerous Goods Declarationは、危険物輸送の安全を確保する最前線の防御システムです。適切な申告は、人命、財産、環境を守る社会的責任であり、グローバルサプライチェーンの信頼性を支える基盤となります。規則の複雑さと更新頻度の高さから、専門知識の継続的な更新と、確実な実務遂行が求められます。
船荷証券
船荷証券(B/L)は海上輸送における最重要書類です。貨物の受領証、運送契約の証拠、貨物引換証という3つの機能を持つ有価証券で、裏書により譲渡可能です。貿易決済の基本書類として信用状取引でも必須となります。
海上運送状
海上運送状は海上輸送の受領証で、B/Lと異なり有価証券ではありません。書類の提示なしに記名された荷受人が貨物を受け取れるため、信頼関係のある当事者間の取引で使用され、書類遅延リスクを回避できます。
配達指図書
配達指図書(D/O)は運送人や代理店が倉庫業者に対して貨物の引渡しを指示する書類です。B/Lと引き換えに発行され、実際の貨物受け取りに必要となります。港湾での貨物引き取り手続きの最終段階で使用されます。
船積指図書
船積指図書(S/I)は荷主がフォワーダーや船会社に対して船積みの詳細を指示する書類です。B/L作成の基礎となる重要書類で、貨物の明細、荷印、仕向地、通知先などの必要情報を網羅的に記載します。
領事送り状
領事送り状は輸入国の在外領事館が認証する特殊な送り状です。一部の中南米やアフリカ諸国で要求され、輸入統計や外貨管理の目的で使用されます。通常のインボイスに加えて作成が必要となります。
保険証券(保険証明書)
保険証券は海上保険の契約内容を証明する書類です。CIF条件では売主が手配し、保険金額は通常CIF価格の110%です。貨物の損害発生時の保険金請求の根拠となり、裏書により譲渡可能です。
ハウス船荷証券
フォワーダーが発行する船荷証券で、実運送人のB/L(マスターB/L)に対して荷主向けに発行されます。小口貨物の混載輸送で使用され、荷主は実運送人と直接契約せずに海上輸送サービスを利用できます。