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海上運送状は海上輸送の受領証で、B/Lと異なり有価証券ではありません。書類の提示なしに記名された荷受人が貨物を受け取れるため、信頼関係のある当事者間の取引で使用され、書類遅延リスクを回避できます。
Sea Waybill(海上運送状、SWB)は、海上輸送における貨物の受領と運送契約を証明する書類ですが、B/Lと異なり有価証券ではありません。1970年代に北欧で開発され、書類の流通に伴う時間とコストを削減する目的で導入されました。記名式で発行され、指定された荷受人のみが貨物を受け取ることができる非流通書類です。
非流通性:有価証券ではないため裏書による譲渡はできません。これにより書類の管理が簡素化され、紛失リスクも軽減されます。
迅速な貨物引渡し:書類の原本提示が不要なため、EDIやメールで送信された情報のみで貨物の引渡しが可能です。
信頼関係が前提:譲渡不能なため、グループ会社間取引や長期的な信頼関係がある当事者間での使用に適しています。
L/C取引での制限:UCP600では、信用状で特に要求されない限り、銀行はSea Waybillを受理する義務がありません。
コンテナ輸送の普及により海上輸送が高速化する中、従来のB/Lシステムでは書類の到着が貨物に追いつかない「B/L Crisis」が頻発しました。特に近海航路では、貨物が到着してもB/L原本が届かないため、保証状による仮渡しが常態化し、法的リスクが増大していました。Sea Waybillはこの問題を根本的に解決する手段として開発されました。
親子会社間の部品供給、定期的な原材料調達、サンプル輸送など、所有権の移転を伴わない取引で広く使用されています。また、近海航路(日中韓やASEAN域内)では、輸送時間の短さからSea Waybillの採用率が高くなっています。EDIシステムと組み合わせることで、完全なペーパーレス取引も実現可能です。
最大のメリットは処理の迅速性とコスト削減です。書類の印刷、郵送、保管が不要となり、年間数百件の取引を行う企業では大幅な業務効率化が実現できます。一方、転売ができないため貿易金融での活用は限定的で、信用状取引には適しません。また、貨物に対する担保権の設定も困難です。
CMI統一規則(1990年)により国際的な法的枠組みが整備されましたが、各国の海商法における扱いは様々です。日本では2018年の商法改正により海上運送状に関する規定が新設され、法的地位が明確化されました。主要船社のデジタルプラットフォームでは、Sea Waybillの発行から貨物引渡しまでの全プロセスが電子化されています。
Sea Waybillは、信頼関係のある当事者間の取引において、迅速性と効率性を提供する現代的な輸送書類です。B/Lの代替ではなく、取引の性質に応じた適切な選択肢として、その利用は着実に拡大しています。
船荷証券
船荷証券(B/L)は海上輸送における最重要書類です。貨物の受領証、運送契約の証拠、貨物引換証という3つの機能を持つ有価証券で、裏書により譲渡可能です。貿易決済の基本書類として信用状取引でも必須となります。
配達指図書
配達指図書(D/O)は運送人や代理店が倉庫業者に対して貨物の引渡しを指示する書類です。B/Lと引き換えに発行され、実際の貨物受け取りに必要となります。港湾での貨物引き取り手続きの最終段階で使用されます。
船積指図書
船積指図書(S/I)は荷主がフォワーダーや船会社に対して船積みの詳細を指示する書類です。B/L作成の基礎となる重要書類で、貨物の明細、荷印、仕向地、通知先などの必要情報を網羅的に記載します。
領事送り状
領事送り状は輸入国の在外領事館が認証する特殊な送り状です。一部の中南米やアフリカ諸国で要求され、輸入統計や外貨管理の目的で使用されます。通常のインボイスに加えて作成が必要となります。
保険証券(保険証明書)
保険証券は海上保険の契約内容を証明する書類です。CIF条件では売主が手配し、保険金額は通常CIF価格の110%です。貨物の損害発生時の保険金請求の根拠となり、裏書により譲渡可能です。
危険物申告書
危険物申告書は危険物輸送時の必須書類で、物質の分類、UN番号、梱包等級などを記載します。IMDG CodeやIATA規則に準拠し、安全な輸送のための取扱い指示を含みます。虚偽申告は重大な法的責任を伴います。
ハウス船荷証券
フォワーダーが発行する船荷証券で、実運送人のB/L(マスターB/L)に対して荷主向けに発行されます。小口貨物の混載輸送で使用され、荷主は実運送人と直接契約せずに海上輸送サービスを利用できます。