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フォワーダーが発行する船荷証券で、実運送人のB/L(マスターB/L)に対して荷主向けに発行されます。小口貨物の混載輸送で使用され、荷主は実運送人と直接契約せずに海上輸送サービスを利用できます。
House B/L(ハウス船荷証券、HBL)は、フレイトフォワーダー(利用運送事業者)が荷主に対して発行する船荷証券です。実運送人(船会社)が発行するMaster B/L(MBL)に対して、二次的な運送書類として機能します。小口貨物の混載(LCL: Less than Container Load)輸送において不可欠な書類であり、フォワーディング業務の中核をなす仕組みです。
1960年代のコンテナ化により、複数荷主の貨物を1つのコンテナに混載する需要が急増しました。フォワーダーは船会社から1本のMBLでコンテナ全体を引き受け、個々の荷主に対してHBLを発行することで、小口貨物でもコンテナ輸送のメリットを享受できる仕組みを確立しました。この革新により、中小企業も国際貿易に参入しやすくなりました。
二層構造:MBLは船会社とフォワーダー間、HBLはフォワーダーと荷主間の契約関係を規定します。荷主は船会社と直接の契約関係を持ちません。
NVOCCの役割:HBLを発行するフォワーダーは、NVOCC(Non-Vessel Operating Common Carrier)として運送責任を負います。
柔軟な条件設定:フォワーダーは独自の運賃体系や約款を設定でき、付加価値サービスの提供が可能です。
Switch B/L機能:貿易の三国間取引では、HBLを中継地で差し替えることで、実際の取引価格を最終買主に開示しない取引が可能となります。
LCL貨物の輸送では、HBLなしには効率的な物流が成立しません。フォワーダーは仕向地での貨物の仕分け(デバンニング)、配送、通関手続きまでを一貫して提供し、Door to Doorサービスを実現しています。また、複数の輸送モードを組み合わせた複合一貫輸送でも、HBL一枚で全行程をカバーできます。
UCP600では、運送書類としてHBLも認められていますが、「Freight Forwarder’s B/L」として明示的に除外される場合があります。L/C条件でHBLが受理可能かどうかは、事前に確認が必要です。多くの銀行は、大手フォワーダーが発行するHBLについては、信用力を評価した上で受理しています。
HBL発行者であるフォワーダーの信用リスクが最大の懸念事項です。フォワーダーが倒産した場合、HBL保有者は船会社に対して直接貨物を請求できません。このため、FIATA(国際貨物輸送業者協会連合会)加盟業者など、信頼性の高いフォワーダーの選定が重要です。また、貨物保険では、HBLに基づく求償が制限される場合があるため、保険条件の確認も必要です。
HBLの電子化は、フォワーダー各社のプラットフォームで急速に進んでいます。特にアジア域内では、貿易手続きの電子化と連動して、HBLの完全ペーパーレス化が実現されつつあります。
House B/Lは、現代の国際物流において不可欠な書類システムです。小口貨物の効率的な輸送を可能にし、中小企業の国際貿易参入を支援する重要な役割を果たしています。フォワーダーの専門性と信用力に依存する仕組みであるため、適切なパートナー選定が成功の鍵となります。
船荷証券
船荷証券(B/L)は海上輸送における最重要書類です。貨物の受領証、運送契約の証拠、貨物引換証という3つの機能を持つ有価証券で、裏書により譲渡可能です。貿易決済の基本書類として信用状取引でも必須となります。
海上運送状
海上運送状は海上輸送の受領証で、B/Lと異なり有価証券ではありません。書類の提示なしに記名された荷受人が貨物を受け取れるため、信頼関係のある当事者間の取引で使用され、書類遅延リスクを回避できます。
配達指図書
配達指図書(D/O)は運送人や代理店が倉庫業者に対して貨物の引渡しを指示する書類です。B/Lと引き換えに発行され、実際の貨物受け取りに必要となります。港湾での貨物引き取り手続きの最終段階で使用されます。
船積指図書
船積指図書(S/I)は荷主がフォワーダーや船会社に対して船積みの詳細を指示する書類です。B/L作成の基礎となる重要書類で、貨物の明細、荷印、仕向地、通知先などの必要情報を網羅的に記載します。
領事送り状
領事送り状は輸入国の在外領事館が認証する特殊な送り状です。一部の中南米やアフリカ諸国で要求され、輸入統計や外貨管理の目的で使用されます。通常のインボイスに加えて作成が必要となります。
保険証券(保険証明書)
保険証券は海上保険の契約内容を証明する書類です。CIF条件では売主が手配し、保険金額は通常CIF価格の110%です。貨物の損害発生時の保険金請求の根拠となり、裏書により譲渡可能です。
危険物申告書
危険物申告書は危険物輸送時の必須書類で、物質の分類、UN番号、梱包等級などを記載します。IMDG CodeやIATA規則に準拠し、安全な輸送のための取扱い指示を含みます。虚偽申告は重大な法的責任を伴います。