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船積指図書(S/I)は荷主がフォワーダーや船会社に対して船積みの詳細を指示する書類です。B/L作成の基礎となる重要書類で、貨物の明細、荷印、仕向地、通知先などの必要情報を網羅的に記載します。
Shipping Instruction(船積指図書、S/I)は、荷主がフォワーダーや船会社に対して、貨物の船積みに関する詳細な指示を伝える書類です。B/L作成の基礎資料となる最重要書類であり、記載内容の正確性が後続のすべての貿易書類に影響を与えます。輸出者の意図を運送人に正確に伝達する、貿易実務における「設計図」としての役割を果たします。
S/Iには、荷送人- 荷受人情報、通知先(Notify Party)、貨物明細、荷印(Shipping Marks)、梱包形態、重量- 容積、運賃支払条件、B/Lの種類と通数など、輸送に必要なすべての情報を記載します。特に、L/C条件との整合性確保は極めて重要で、わずかな相違(ディスクレ)も買取拒否の原因となります。
S/Iは、貨物のCY搬入やCFS搬入の数日前に提出する必要があります。船会社やフォワーダーは、S/Iに基づいてブッキングの最終確認、B/Lの作成準備、マニフェストの作成を行います。締切(S/I Cut-off)を過ぎると、B/L内容の変更が困難または高額な訂正料が発生するため、慎重な作成が求められます。
信用状取引では、S/Iの記載内容がL/C条件と完全に一致する必要があります。商品明細の表現、数量の単位、金額の通貨表示など、些細な相違も「ディスクレパンシー」として買取銀行から指摘される可能性があります。このため、L/Cの原文を参照しながら、一字一句正確に転記することが重要です。
INTTRA(現E2open)やCargoSmart などのプラットフォームでは、S/Iの電子申請が標準化されています。EDIFACTやXMLフォーマットにより、荷主のシステムから直接S/Iデータを送信でき、転記ミスの削減と処理時間の短縮を実現しています。
S/Iの誤記は重大な結果を招きます。荷受人名の誤記により貨物が引き取れない、HSコードの誤記により通関が遅延する、危険品情報の記載漏れにより船積み拒否されるなど、様々なトラブルが発生します。このため、多くの企業では、ダブルチェック体制やチェックリストの活用により、ミスの防止に努めています。
危険品、冷凍- 冷蔵品、超重量物などの特殊貨物では、追加情報の記載が必須です。IMDGコードに基づく危険品申告、温度管理指示、特殊積付け要求など、通常貨物とは異なる詳細な指示が必要となります。これらの情報不足や誤記は、貨物の損傷や事故につながる可能性があります。
Shipping Instructionは、貿易取引の成否を左右する重要書類です。正確な作成には、L/C条件の理解、輸送知識、通関規則など、幅広い専門知識が必要となります。S/Iの品質向上は、貿易実務全体の効率化に直結する重要な課題です。
船荷証券
船荷証券(B/L)は海上輸送における最重要書類です。貨物の受領証、運送契約の証拠、貨物引換証という3つの機能を持つ有価証券で、裏書により譲渡可能です。貿易決済の基本書類として信用状取引でも必須となります。
海上運送状
海上運送状は海上輸送の受領証で、B/Lと異なり有価証券ではありません。書類の提示なしに記名された荷受人が貨物を受け取れるため、信頼関係のある当事者間の取引で使用され、書類遅延リスクを回避できます。
配達指図書
配達指図書(D/O)は運送人や代理店が倉庫業者に対して貨物の引渡しを指示する書類です。B/Lと引き換えに発行され、実際の貨物受け取りに必要となります。港湾での貨物引き取り手続きの最終段階で使用されます。
領事送り状
領事送り状は輸入国の在外領事館が認証する特殊な送り状です。一部の中南米やアフリカ諸国で要求され、輸入統計や外貨管理の目的で使用されます。通常のインボイスに加えて作成が必要となります。
保険証券(保険証明書)
保険証券は海上保険の契約内容を証明する書類です。CIF条件では売主が手配し、保険金額は通常CIF価格の110%です。貨物の損害発生時の保険金請求の根拠となり、裏書により譲渡可能です。
危険物申告書
危険物申告書は危険物輸送時の必須書類で、物質の分類、UN番号、梱包等級などを記載します。IMDG CodeやIATA規則に準拠し、安全な輸送のための取扱い指示を含みます。虚偽申告は重大な法的責任を伴います。
ハウス船荷証券
フォワーダーが発行する船荷証券で、実運送人のB/L(マスターB/L)に対して荷主向けに発行されます。小口貨物の混載輸送で使用され、荷主は実運送人と直接契約せずに海上輸送サービスを利用できます。