Insurance Certificate

基本概念

Insurance Certificate（保険証券）は、海上保険契約の内容を証明する書類で、貨物の海上輸送中の損害をカバーする保険の証拠となります。CIF（Cost, Insurance and Freight）やCIP（Carriage and Insurance Paid to）条件では売主が手配し、FOBやCFR条件では買主が手配します。貿易取引において、貨物の価値を保護する重要な リスク管理ツールです。

保険の種類と条件

ICC約款（協会貨物約款）：

• ICC（A）：オールリスク担保（最も広範囲）
• ICC（B）：限定危険担保（中程度）
• ICC（C）：最小限担保（火災、衝突、座礁等）

戦争危険- ストライキ危険：基本約款でカバーされない戦争やストライキによる損害は、追加保険料で付保可能です。

特約条項：盗難不担保特約、錆損害不担保特約など、特定のリスクを除外または追加する条項を設定できます。

保険金額の設定

通常、CIF価格またはCIP価格の110%で設定されます。この10%の上乗せは、期待利益と諸経費をカバーするためです。L/C条件で最低付保率が指定されている場合は、それに従う必要があります。過大な保険金額は保険料の無駄となり、過少な場合は一部保険として保険金が按分されます。

保険金請求のプロセス

損害発生時は、直ちに保険会社指定のサーベイヤー（検査員）に通知し、損害検査を受ける必要があります。クレームには、保険証券、インボイス、B/L、損害証明書、サーベイレポートなどの提出が必要です。貨物受取時の外観検査と、異常がある場合の留保付き受領書の取得が極めて重要です。

L/C取引での要件

信用状取引では、保険証券の記載内容がL/C条件と完全に一致する必要があります。保険金額、保険条件、有効期間、被保険者名などの不一致は、ディスクレパンシーとして買取拒否の原因となります。また、保険証券は通常、インボイス金額と同じ通貨で表示され、譲渡可能（negotiable）である必要があります。

包括保険契約との関係

大量の貨物を定期的に輸送する企業は、包括予定保険（Open Policy）を締結し、個別の保険証券の代わりに保険承認状（Insurance Declaration）を発行することがあります。これにより、事務処理の簡素化と保険料の削減が可能となります。L/Cで「Insurance Policy or Certificate」と規定されている場合、どちらも受理可能です。センサーデータと連動した自動保険金支払いや、改ざん防止機能により、クレーム処理の迅速化と不正請求の防止が期待されます。

まとめ

Insurance Certificateは、国際貿易における貨物の価値を保護する最後の砦です。適切な保険条件の選択と、正確な保険証券の取得は、安全な貿易取引の基本要件です。貿易実務者にとって、保険知識の習得は必須のスキルとなっています。