Depth

### 概要 デプス（Depth）とは、市場の流動性を評価する際の4つの側面（タイトネス、デプス、即時性、レジリエンシー）のうちの一つです。市場において、現在の最良気配値（ベスト・ビッドおよびベスト・アスク）やその付近の価格水準に、どれだけ多くの買い注文や売り注文が存在しているか、すなわち市場価格に大きな影響を与えずに吸収できる注文量の多さを示す概念です。「市場の厚み」や「板の厚み」と表現されることもあります。 ### 意味合い - デプスが大きい（市場が厚い）とは、最良気配値付近に多くの注文量が存在する状態です。このような市場では、比較的大口の注文を出しても、価格を大きく変動させることなく約定させやすい傾向があります。 - デプスが小さい（市場が薄い）とは、気配値付近の注文量が少ない状態です。このような市場では、少し大きな注文で価格が大きく動きやすく、大口注文の執行が困難になる可能性があります。 ### 測定指標 - 気配数量 (Quote Size): 最良気配値に提示されている注文数量。 - 板情報 (Order Book Depth): 最良気配値付近の価格帯全体の注文数量情報。 - カイルのラムダ (Kyle's Lambda): 単位取引量あたりの価格変動を示す指標（小さいほどデプス大）。 ### 流動性との関係 デプスが大きいことは、市場の流動性が高いことを示す重要な要素です。タイトネス（スプレッドの狭さ）とデプス（厚み）の両方が備わっている市場が、一般的に流動性の高い良い市場と評価されます。 市場の厚みは、大口注文を執行する機関投資家などにとって、特に重要な市場の質を示す指標となります。