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LCH.Clearnetは、欧州最大級の多市場対応清算機関で、金利スワップ、レポ、現物株式、商品デリバティブ等を扱います。ロンドンのLCHとパリのClearnet統合により誕生し、グローバルな清算サービスを提供。商品取引では特にエネルギー・金属市場で重要な役割を果たしています。
LCH.Clearnetは、世界最大級の多資産クラス対応の中央清算機関(CCP)として、グローバル金融市場の安定性に重要な役割を果たしています。2003年にロンドンのLondon Clearing House(LCH)とパリを拠点とするClearnetが合併して誕生し、その後2013年にはLondon Stock Exchange Group(LSEG)の傘下に入りました。現在は欧州、米国、アジア太平洋地域で清算サービスを提供し、金利スワップ、レポ取引、現物株式、コモディティデリバティブ、外国為替など幅広い商品を取り扱っています。
LCHの主力サービスであるSwapClearは、店頭(OTC)金利デリバティブの清算で世界最大のシェアを持ちます。グローバルな金利スワップ市場の約90%を清算し、21通貨、想定元本1,000兆ドル以上の取引を処理しています。圧縮サービスにより、未決済残高を大幅に削減し、市場の効率性向上に貢献しています。
欧州の国債レポ市場における主要な清算サービスで、ユーロ建て国債レポの大部分を清算しています。匿名取引、バスケット取引、GCレポなど多様な取引形態に対応し、資金調達市場の流動性と安定性を支えています。ネッティング効率は95%以上に達し、決済リスクを大幅に削減しています。
LCHは、エネルギー、金属、農産物など幅広いコモディティデリバティブの清算を行っています。特に欧州のエネルギー市場では、電力、ガス、排出権取引の清算で重要な地位を占めています。現物受渡しとキャッシュ決済の両方に対応し、市場参加者の多様なニーズに応えています。
LCHは、会員資格基準、証拠金制度、デフォルトファンド、自己資本という多層的な防御システムを構築しています。リアルタイムのリスク監視、日中証拠金コール、ストレステストにより、市場変動への迅速な対応を可能にしています。2008年のリーマン- ブラザーズ破綻時も、顧客ポジションの円滑な移管を実現し、システムの堅牢性を実証しました。
LCHは、商品特性に応じた高度な証拠金モデルを開発- 運用しています。ポートフォリオマージニングにより、資本効率の向上も図っています。
包括的なデフォルト管理プロセスを整備し、会員破綻時の迅速な対応を可能にしています。デフォルト管理グループ(DMG)を組織し、破綻ポートフォリオのヘッジ、オークション、清算を効率的に実施します。定期的な火災訓練(ファイアドリル)により、手続きの有効性を継続的に検証しています。決済プロセスの効率化、透明性向上、コスト削減を目指し、複数のパイロットプロジェクトを実施しています。特に、証券決済やコラテラル管理への応用で先進的な取り組みを進めています。
ポートフォリオ圧縮サービスにより、経済的に同等な取引を統合し、未決済残高を大幅に削減しています。これにより、オペレーショナルリスクの低減、資本効率の改善、規制資本の削減を実現しています。2023年には、累計で1,300兆ドル以上の想定元本を圧縮しました。会員向けにリスク分析ツールやレポーティングサービスを提供し、リスク管理の高度化を支援しています。
LCHは、欧州(EMIR)、米国(ドッド- フランク法)、日本、オーストラリアなど主要国の規制当局から認可を受けています。各国の規制要件を満たしつつ、クロスボーダー取引の円滑な清算を実現しています。規制当局との継続的な対話により、市場の健全な発展に貢献しています。
CPMI-IOSCOの「金融市場インフラのための原則」(PFMI)に完全準拠し、国際的なベストプラクティスを実践しています。業界団体や国際機関での活動を通じて、清算業務の標準化、相互運用性の向上、システミックリスクの削減に取り組んでいます。
LCHの清算サービスは、商品取引市場の発展に大きく貢献しています。カウンターパーティリスクの削減により、市場参加者の拡大と取引の活性化を促進しています。標準化された清算プロセスにより、市場の透明性と効率性が向上し、価格発見機能が強化されています。また、証拠金の効率的な管理により、市場参加者の資本コストを削減し、市場の深化に寄与しています。グローバルな清算ネットワークにより、クロスボーダー取引の障壁を低減し、市場の国際化を推進しています。
グロス決済
グロス決済は、取引を個別に一件ずつ総額で決済する方式で、ネッティングを行わない決済方法です。各取引の決済リスクを完全に排除できる利点がありますが、必要資金量が大きくなります。即時グロス決済(RTGS)として大口資金決済に広く採用されています。
クローズアウトネッティング
クローズアウトネッティングは、取引相手の破綻時に全ての未決済取引を一括して清算し、単一の債権債務に置き換える仕組みです。エクスポージャーを大幅に削減し、破綻処理を迅速化します。ISDAマスター契約等で標準化され、市場の安定性を支えています。
取引決済(受渡し)
取引決済は、約定した取引を最終的に完了させる重要なプロセスです。買い手が代金を支払い、売り手が有価証券や商品を引き渡すことで契約義務を履行します。決済の確実性とリスク管理は、金融市場の安定性を支える基盤となります。
ネット決済
ネット決済は、複数の取引から生じる債権債務を相殺し、その差額のみを決済する効率的な方式です。決済に必要な資金や証券の量を大幅に削減し、決済リスクも低減します。商品取引では、日中の取引を集約して一括決済することで、業務効率を向上させます。
DVP決済
DVP決済(Delivery Versus Payment)は、証券の引渡しと資金の支払いを同時に行う決済方式です。一方の履行なしに他方が実行されないため、決済リスクを完全に排除できます。商品取引では現物受渡しとその対価の同時履行により、取引の安全性を確保します。
多角的ネッティング
多角的ネッティングは、3者以上の参加者間で債権債務を相殺し、決済額を圧縮する仕組みです。中央清算機関が中心となって実施し、決済リスクとシステミックリスクを大幅に削減します。商品取引では、市場全体の効率性と安定性向上に重要な役割を果たします。
T+決済
T+決済は、約定日(T)から決済日までの標準的な期間を示す決済サイクルです。T+1は翌営業日、T+2は2営業日後の決済を意味します。商品取引では商品や市場により異なる決済期間が設定され、リスク管理と資金効率のバランスを考慮して決定されます。