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T+決済は、約定日(T)から決済日までの標準的な期間を示す決済サイクルです。T+1は翌営業日、T+2は2営業日後の決済を意味します。商品取引では商品や市場により異なる決済期間が設定され、リスク管理と資金効率のバランスを考慮して決定されます。
T+決済は、取引日(Trade date)から一定期間後に決済を行う制度であり、「T+2」は取引日の2営業日後、「T+1」は翌営業日に決済することを意味します。この決済サイクルは、市場の効率性とリスク管理のバランスを取る重要な要素であり、国際的な標準化が進められています。決済期間の短縮は、カウンターパーティリスクと市場リスクを削減する一方、事務処理とリスク管理の時間を圧縮するため、高度な自動化とシステム化が必要となります。商品取引市場では、現物の移動や品質確認の必要性から、金融商品とは異なる決済サイクルが設定されることがあります。
国際的な動向として、主要市場ではT+2決済が標準となっています。米国は2017年9月、欧州は2014年10月にT+3からT+2へ移行しました。日本の株式市場も2019年7月にT+2決済を実現しています。この短縮により、年間数十億ドル規模の資金効率化と、リスク削減効果が実現されています。さらに、インドなど一部の市場ではT+1決済への移行が進んでおり、
商品取引市場における特殊性として、現物商品の物理的な移動を伴う取引では、より長い決済サイクルが必要な場合があります。例えば、原油のタンカー輸送では数週間、農産物の国際取引では検疫や品質検査を含めて10日以上かかることもあります。一方、貴金属の電子取引では、ロンドン金属取引所(LME)のようにT+2決済が標準となっています。倉庫証券を用いた取引では、証券の移転により迅速な決済が可能です。
決済サイクル短縮の利点には、信用リスクの削減、資本効率の向上、市場流動性の改善があります。未決済期間が短いほど、価格変動リスクや相手方の信用悪化リスクが小さくなります。証拠金や担保の拘束期間も短縮され、資金効率が向上します。一方、課題として、バックオフィス業務の高速化、異なるタイムゾーン間の調整、エラー訂正時間の減少などがあります。特に、クロスボーダー取引では、各国の休日や時差を考慮した複雑な調整が必要です。
技術革新による進化として、分散台帳技術を用いることで、取引と決済を同時に行うアトミックスワップが実現できます。クラウドベースの決済プラットフォームにより、24時間365日の決済処理が可能になりつつあります。
規制と標準化の観点から、各国規制当局は決済リスク削減のため、決済サイクルの短縮を推進しています。しかし、過度な短縮は市場参加者に過大な負担を強いる可能性があるため、段階的な移行が重要です。国際証券決済機関(ISSA)などが、グローバルな決済サイクルの調和を推進しており、クロスボーダー取引の効率化を図っています。
グロス決済
グロス決済は、取引を個別に一件ずつ総額で決済する方式で、ネッティングを行わない決済方法です。各取引の決済リスクを完全に排除できる利点がありますが、必要資金量が大きくなります。即時グロス決済(RTGS)として大口資金決済に広く採用されています。
クローズアウトネッティング
クローズアウトネッティングは、取引相手の破綻時に全ての未決済取引を一括して清算し、単一の債権債務に置き換える仕組みです。エクスポージャーを大幅に削減し、破綻処理を迅速化します。ISDAマスター契約等で標準化され、市場の安定性を支えています。
取引決済(受渡し)
取引決済は、約定した取引を最終的に完了させる重要なプロセスです。買い手が代金を支払い、売り手が有価証券や商品を引き渡すことで契約義務を履行します。決済の確実性とリスク管理は、金融市場の安定性を支える基盤となります。
ネット決済
ネット決済は、複数の取引から生じる債権債務を相殺し、その差額のみを決済する効率的な方式です。決済に必要な資金や証券の量を大幅に削減し、決済リスクも低減します。商品取引では、日中の取引を集約して一括決済することで、業務効率を向上させます。
DVP決済
DVP決済(Delivery Versus Payment)は、証券の引渡しと資金の支払いを同時に行う決済方式です。一方の履行なしに他方が実行されないため、決済リスクを完全に排除できます。商品取引では現物受渡しとその対価の同時履行により、取引の安全性を確保します。
多角的ネッティング
多角的ネッティングは、3者以上の参加者間で債権債務を相殺し、決済額を圧縮する仕組みです。中央清算機関が中心となって実施し、決済リスクとシステミックリスクを大幅に削減します。商品取引では、市場全体の効率性と安定性向上に重要な役割を果たします。
LCH.Clearnet
LCH.Clearnetは、欧州最大級の多市場対応清算機関で、金利スワップ、レポ、現物株式、商品デリバティブ等を扱います。ロンドンのLCHとパリのClearnet統合により誕生し、グローバルな清算サービスを提供。商品取引では特にエネルギー・金属市場で重要な役割を果たしています。