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アブラヤシの果実から得られる植物油です。世界で最も生産・消費されている植物油であり、食品加工、業務用フライオイル、石鹸、バイオディーゼル燃料など幅広い用途があります。
パーム油(Palm Oil)とは、アブラヤシ(Oil Palm)の果実の主に「果肉部分」から採取される植物油です。アブラヤシの種子(核)から採れる「パーム核油(Palm Kernel Oil)」とは区別され、性質や用途が異なります(本解説は主に果肉由来のパーム油について記述します)。パーム油は、世界で最も生産量および消費量が多い植物油であり、その幅広い用途と単位面積あたりの収油量が非常に高いという生産性から、重要なソフトコモディティとして国際的に取引されています。
常温ではクリーム状の半固形(飽和脂肪酸を比較的多く含むため)であり、この性質は輸送や食品加工(例: マーガリンやショートニングの製造)に適している一方、寒冷地では凝固しやすく、加温設備が必要になるなど、取り扱いに工夫が求められる場合があります。
パーム油はその多様な特性から、広範な分野で利用されています。
パーム油の国際的な価格指標としては、マレーシア証券取引所(Bursa Malaysia Derivatives, BMD)で取引されている粗パーム油先物(Crude Palm Oil Futures, FCPO、一般的にCPOと略される)が最も重要視されており、アジア市場における基準価格(ベンチマーク)となっています。その他、インドネシアやロッテルダム(欧州の主要な輸入港)の現物価格なども参照されます。
実際の国際取引は、これらの指標価格を参考にしつつ、品質(FFA遊離脂肪酸濃度、水分- 不純物含有量など)、産地、持続可能性認証(RSPO認証など)の有無などを考慮した相対契約によって行われることが多いです。
パーム油価格は、他の植物油との競合関係が強く、また天候や政策の影響も受けやすい商品です。
パーム油生産の急速な拡大は、東南アジアを中心に熱帯雨林の伐採、貴重な泥炭地の開発、生物多様性の損失(オランウータンなどの生息地破壊)といった深刻な環境問題や、土地収奪(ランドグラブ)、先住民の権利侵害、児童労働を含む労働者の権利侵害といった社会問題を引き起こしていると国際的に強く指摘されています。
これに対応するため、「持続可能なパーム油のための円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil, RSPO)」が2004年に設立され、環境- 社会に配慮した持続可能なパーム油生産のための原則と基準(RSPO認証)を策定し、その普及を推進しています。しかし、RSPO認証制度についても、その強制力の限界、認証農園の比率の低さ、認証基準の実効性(森林破壊が完全に防げていないとの批判など)、監査の信頼性に関して課題も指摘されており、サプライチェーン全体でのより実効性のある取り組みや、より厳格な基準を求める声も高まっています。多くのグローバルな食品メーカーや小売企業は、ESG(環境- 社会- ガバナンス)投資の観点からも、持続可能なパーム油の調達目標(例: 2025年までにRSPO認証油100%利用)を掲げ、サプライヤーに対する要求を強めています。
パームオイル
なたね / キャノーラ
アブラナ科の植物で、その種子から菜種油(キャノーラ油)を搾油するために広く栽培されます。油粕は飼料としても利用される、重要な油糧種子(オイルシード)です。
落花生(ピーナッツ)
マメ科の一年草で、その種子が食用や搾油用に利用されます。ナッツとして扱われがちですが植物学的には豆類です。ピーナッツバターや菓子原料、ピーナッツオイルとして消費されます。
魚粉
魚粉は魚を乾燥・粉砕した高タンパク飼料で、養殖魚や養鶏の重要な飼料原料です。タンパク質含有量60-72%で、必須アミノ酸を豊富に含みます。ペルー、チリが主要生産国で、エルニーニョが供給に大きく影響します。
パーム核
Palm Kernelは、アブラヤシの果実からパーム油を搾油した後に残る種子部分です。パーム核油の原料として使用され、化粧品、石鹸、食品添加物など様々な製品の製造に活用されています。マレーシアやインドネシアを中心に生産され、国際取引において重要な油脂原料として取引されています。持続可能な生産と環境配慮が求められる商品です。
ひまわりの種
ひまわり種子は、食用油と飼料原料の重要な供給源となる油糧種子です。ウクライナ、ロシアが主産地で、高品質の食用油を産出し、世界の植物油市場で重要な位置を占めています。
タンパク質ミール
プロテインミールは、油糧種子から油を抽出した後の高タンパク質副産物です。大豆ミール、菜種ミールなどが主要製品で、飼料産業の基幹原料として世界的に取引される重要な農産物となっています。
綿実
綿実は綿花栽培の副産物で、搾油原料と飼料として利用されます。綿実油は食用油として、綿実粕は反芻動物の飼料として重要です。年間生産量は約4,500万トンで、インド、中国、米国が主要生産国です。
キャノーラ(菜種)
アブラナ科の菜種(Rapeseed)のうち、エルシン酸とグルコシノレートの含有量を品種改良により低減させた特定の品種群の名称です。主にカナダで開発され、食用油(キャノーラ油)として広く利用されています。