欧州のOTCデリバティブ取引に関する規制です。中央清算機関での清算義務、取引情報の報告義務、リスク軽減措置などを定め、システミックリスクの削減を図っています。
EMIR(European Market Infrastructure Regulation、欧州市場インフラ規制)は、2012年に施行されたEUのOTCデリバティブ規制です。2008年の金融危機を踏まえ、デリバティブ市場の透明性向上とシステミックリスクの削減を目的としています。G20合意に基づく国際的な規制改革の一環です。
EMIRは、標準化されたOTCデリバティブの中央清算義務、すべてのデリバティブ取引の報告義務、清算されないOTCデリバティブのリスク軽減措置を定めています。金融機関と一定規模以上の非金融企業が対象となります。取引情報蓄積機関(TR)への報告が義務付けられています。
取引当事者は、適格中央清算機関(QCCP)で清算義務対象商品を清算します。すべてのデリバティブ取引をT+1でTRに報告します。清算されない取引では、証拠金の授受により信用リスクを軽減します。ポートフォリオ照合や紛争解決手続きを整備します。
中央清算により、カウンターパーティリスクが大幅に削減されます。取引報告により、市場の透明性が向上します。リスク軽減措置により、金融システムの安定性が強化されます。規制の標準化により、クロスボーダー取引が円滑化されます。
清算- 報告コストが増大し、特に中小企業の負担が重くなります。証拠金要件により、資金効率が低下する可能性があります。規制の複雑さにより、コンプライアンス違反のリスクが存在します。第三国との同等性評価により、市場分断が生じる可能性があります。
「MiFID II」は金融商品市場全般の規制、「EMIR」はデリバティブ市場に特化しています。「Dodd-Frank Act」の第7編と類似していますが、「EMIR」はEU規制です。「SFTR」は証券金融取引、「EMIR」はデリバティブ取引を対象とします。
欧州の大手銀行では、EMIR対応により年間数千万ユーロのコストが発生しています。Brexit後、英国CCPの同等性が認められ、市場の継続性が確保されました。変動証拠金(VM)は2017年から、当初証拠金(IM)は段階的に導入されています。EMIR Refitにより、中小企業向けの規制緩和が実施されました。
金融商品取引法
日本の金融・資本市場の規制法です。投資者保護と市場の公正性・透明性確保を目的とし、有価証券の発行・売買、金融商品取引業の規制などを定めています。
政治的影響力のある人物
政治的に重要な地位にある人物とその関係者を指します。汚職やマネーロンダリングのリスクが高いため、金融機関は強化された顧客管理措置の実施が求められます。
金融商品市場指令II
EUの第2次金融商品市場指令です。投資家保護の強化、市場の透明性向上、取引場所の規制強化を通じて、公正で効率的な金融市場の実現を目指しています。
顧客確認
KYC(Know Your Customer)は、顧客の身元確認と取引目的を把握する手続きで、マネーロンダリング防止の基本です。本人確認、取引目的の確認、継続的な顧客管理により、金融犯罪を防止し、市場の健全性を維持する重要なプロセスです。
ドッド・フランク法
ドッド・フランク法は、2008年金融危機を受けて米国で制定された包括的金融改革法です。システミックリスクの防止、大規模金融機関の規制強化、デリバティブ市場の透明性向上を図り、世界の金融規制に大きな影響を与えた画期的な法律です。
金融商品市場規則
EUの金融商品市場規則です。MiFID IIと共に適用され、取引前後の透明性要件、取引報告義務、商品介入権限など、市場の健全性確保のための規定を定めています。
外国口座税務コンプライアンス法
米国の外国口座税務コンプライアンス法です。米国人の海外金融資産を把握し、租税回避を防止するため、外国金融機関に口座情報の報告を義務付けています。