米は世界人口の半分以上の主食で、アジアで90%以上が生産・消費されます。年間生産量は約5億トン(精米ベース)で、中国とインドで世界生産の約50%を占めます。ジャポニカ米とインディカ米が主要品種です。
米(Rice)は、世界人口の半分以上、約35億人の主食として、最も重要な食料作物の一つです。年間生産量は約5億トン(精米ベース、籾では約7.5億トン)で、その90%以上がアジアで生産・消費されています。水田稲作は、アジアモンスーン地域の農業と文化の基盤を形成しています。
品種は大きくジャポニカ米(短粒種、全体の20%)とインディカ米(長粒種、75%)に分類されます。ジャポニカ米は日本、韓国、中国北部で好まれ、粘りがあり寿司や日本料理に適しています。インディカ米は東南アジア、南アジアで主流で、パサパサした食感が特徴です。香り米(バスマティ、ジャスミンライス)は高級品として取引されます。
主要生産国は中国(約1.5億トン)、インド(約1.3億トン)、インドネシア(約3,500万トン)、バングラデシュ(約3,500万トン)、ベトナム(約2,700万トン)です。生産は灌漑水田と天水田で行われ、年2-3回の収穫が可能な地域もあります。単収は、日本や中国で6-7トン/haと高く、インドやタイでは3-4トン/haです。
栽培技術では、緑の革命により高収量品種(HYV)が普及し、1960年代から生産量が3倍に増加しました。現在は、節水栽培(SRI)、直播栽培、ハイブリッド米などの技術革新が進んでいます。気候変動対応として、耐塩性、耐乾性、耐水性品種の開発も進められています。
国際貿易は生産量の約10%(5,000万トン)に留まり、国内消費中心の作物です。主要輸出国はインド(約2,000万トン)、タイ(約700万トン)、ベトナム(約650万トン)、パキスタン(約400万トン)です。主要輸入国は中国、フィリピン、ナイジェリア、EU、サウジアラビアです。
価格形成は複雑で、タイFOB価格が国際指標となっています。品質により、タイ100%B級(破砕率5%以下)、5%破砕米、25%破砕米などに分類されます。価格要因として、主要生産国の天候(特にモンスーン)、政府の買い付け・放出政策、輸出規制、通貨相場が影響します。多くの国が食料安全保障から価格統制や輸出規制を実施するため、国際価格は変動しやすい特徴があります。
コメ, 稲
大麦
大麦は世界第4位の穀物で、ビール醸造と飼料用が主要用途です。耐寒性・耐乾性に優れ、EU、ロシア、カナダが主要生産国です。六条大麦と二条大麦があり、二条大麦は主にビール用、六条大麦は飼料・食用に使用されます。
カカオ
カカオは、チョコレートの主原料となる熱帯作物で、種子(カカオ豆)を発酵・乾燥させて製品化します。コートジボワール、ガーナが世界生産の60%を占め、ICEカカオ先物が価格指標です。児童労働、森林破壊などの課題を抱え、認証制度による持続可能な生産への転換が進められています。
コーヒー
コーヒーは、コーヒーノキの果実から採取される種子(コーヒー豆)を焙煎して作る嗜好飲料の原料です。アラビカ種とロブスタ種が主要品種で、ブラジル、ベトナム、コロンビアが主要生産国です。品質、産地、加工方法により価格が大きく異なり、世界第2位の取引規模を持つ重要な農産物商品です。
トウモロコシ
トウモロコシは世界最大の生産量を誇る穀物で、飼料、食品、エタノール生産に使用されます。米国が最大生産国で、世界生産の約35%を占めます。CMEで活発に先物取引され、農産物市場の重要な指標となっています。
綿花(コットン)
綿花は、ワタ属植物の種子を覆う繊維で、世界で最も重要な天然繊維です。吸湿性、通気性、耐久性に優れ、衣料品の主原料となっています。中国、インド、米国が主要生産国で、ICE綿花先物が国際価格指標です。持続可能な栽培への転換と、合成繊維との競争が主要な課題となっています。
綿実
綿実は綿花栽培の副産物で、搾油原料と飼料として利用されます。綿実油は食用油として、綿実粕は反芻動物の飼料として重要です。年間生産量は約4,500万トンで、インド、中国、米国が主要生産国です。
小麦
小麦は世界の主食穀物で、パン、麺類、菓子類の原料として重要です。年間生産量は約7.8億トンで、中国、インド、ロシアが主要生産国です。タンパク質含有量により、強力粉、中力粉、薄力粉に分類され、用途が異なります。
ヒマワリ(向日葵)
キク科の一年草で、その種子(サンフラワーシード)が食用や搾油用に利用されます。ヒマワリ油(サンフラワーオイル)は主要な植物油の一つであり、種子や油粕は飼料にもなります。
砂糖
砂糖は、サトウキビやテンサイから抽出される糖類の総称で、世界で最も重要な甘味料です。粗糖、精製糖、黒糖など多様な形態があり、食品産業の基礎原料として年間約1.8億トンが生産されます。ブラジル、インド、タイが主要生産国で、価格は天候、エネルギー市場、政策に大きく影響されます。
大豆
大豆は世界最大の油糧種子で、油脂と高タンパク飼料の供給源として重要です。年間生産量は約3.6億トンで、米国、ブラジル、アルゼンチンが主要生産国です。搾油後の大豆粕は家畜飼料の主要タンパク源となっています。
落花生(ピーナッツ)
マメ科の一年草で、その種子が食用や搾油用に利用されます。ナッツとして扱われがちですが植物学的には豆類です。ピーナッツバターや菓子原料、ピーナッツオイルとして消費されます。
オーツ麦(燕麦)
オーツ麦は栄養価の高い穀物で、朝食シリアルや健康食品として人気があります。年間生産量は約2,300万トンで、ロシア、カナダ、ポーランドが主要生産国です。β-グルカンを豊富に含み、健康効果が注目されています。
フェアトレード
開発途上国の生産者に対して、より公正な価格や労働条件、環境基準などを保証した貿易の仕組み、またはその認証制度のことです。「公平貿易」とも訳され、持続可能な生産と生活を支援します。
コーヒー(アラビカ種)
アラビカ種コーヒーは、高品質で香り豊かな味わいを持つコーヒーの主要品種です。標高1,000m以上の高地で栽培され、全コーヒー生産の約60%を占めます。ブラジル、コロンビア、エチオピアが主産地で、ICEコーヒーC先物が国際価格指標です。気候変動に脆弱で、品質により大きな価格差が生じます。
コーヒー(ロブスタ種)
ロブスタ種コーヒーは、病害虫に強く収量の多いコーヒー品種です。低地でも栽培可能で、全生産の約40%を占めます。ベトナム、ブラジル、インドネシアが主産地で、主にインスタントコーヒーやエスプレッソブレンドに使用されます。ICE Europeのロブスタ先物が価格指標で、アラビカ種より安価で取引されます。
作物年度(穀物年度)
特定の農作物について、その収穫時期を基点として設定される1年間の期間のことです。需給統計や市場分析において、生産量、消費量、在庫量などを集計・比較するための標準的な年度区分として用いられます。
木材(製材)
伐採された樹木(丸太)を、建築や家具、その他の用途に適した特定の寸法や形状(角材、板材など)に加工(製材)した木材製品のことです。「製材品」とも呼ばれます。主要な建築材料の一つです。
オレンジジュース
オレンジジュースは、オレンジを搾汁した果汁飲料で、濃縮還元と非濃縮(NFC)に分類されます。ブラジル、米国フロリダが主要生産地で、ICE冷凍濃縮オレンジジュース先物が価格指標です。柑橘類の病害や異常気象により供給が不安定で、健康志向による需要変化も加わり、価格変動の大きい商品です。
なたね / キャノーラ
アブラナ科の植物で、その種子から菜種油(キャノーラ油)を搾油するために広く栽培されます。油粕は飼料としても利用される、重要な油糧種子(オイルシード)です。
粗糖(原料糖)
粗糖は、サトウキビやテンサイから抽出した糖液を結晶化させた未精製の砂糖です。褐色で糖蜜を含み、ICUMSA値600-1200の品質で取引されます。国際砂糖取引の主要形態で、ICE砂糖11号先物が価格指標となります。精製工場で白糖に加工される中間原料として、世界で年間約6,000万トンが貿易されています。
籾(もみ)
籾は収穫直後の米で、籾殻に包まれた状態の米です。精米歩留まりは約65-70%で、籾から玄米、さらに精米へと加工されます。CMEで先物取引され、アジアの米価格指標として重要です。
天然ゴム
天然ゴムは、ゴムノキの樹液(ラテックス)から製造される弾性高分子材料です。タイ、インドネシア、ベトナムが主要生産国で、タイヤ産業が需要の約70%を占めます。東京商品取引所とシンガポール取引所が主要市場で、合成ゴムとの競合、病害リスク、価格変動が課題となっています。