Embedded Risk

### 概要 エンベデッドリスク（Embedded Risk）とは、金融商品、契約、事業プロセス、あるいはシステムなどの中に「埋め込まれて」おり、その構造や条件の複雑さゆえに、表面上は認識・評価しにくい、潜在的なリスクのことを指します。「内在リスク」や「組み込みリスク」と訳されることもあります。 ### 特徴 - **潜在性・非顕在性:** 通常の状態では問題とならず、見過ごされやすいリスクです。 - **複雑な構造:** 複数の要素や条件、難解な数理モデルなどに組み込まれていることが多いです。 - **特定の条件下で顕在化:** 市場環境の急変、特定のオプション行使、契約条件のトリガー抵触など、特定の状況下で初めてリスクが表面化し、予期せぬ影響を引き起こす可能性があります。 ### 具体例 - **金融商品:** 仕組債や複雑なデリバティブに内包されるリスク（例: 想定外の早期償還リスク）。オプション付き債券の負のコンベクシティなど。 - **契約:** 長期契約における価格調整条項、不可抗力条項、コベナンツなどが、特定の状況下で予期せぬ影響を及ぼすリスク。 - **事業プロセス・システム:** 特定担当者への業務集中（属人化）リスク、システムにおける単一障害点（SPOF）のリスクなど。 ### 管理 商品や契約、プロセスの内容を詳細に分析・理解し、どのような条件下でリスクが顕在化するかを事前に評価（シナリオ分析、ストレステストなど）し、モニタリングや対応策を準備しておくことが大切です。 表面的な理解だけでは見落としがちな、隠れたリスクに注意を払う必要性を示唆する概念です。